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ゴシック体と明朝体。フォントの歴史から「与える印象」を読み解く

2023.08.22デザイン

現代におけるフォントの数は和文フォントだけでも3000種類以上存在するといわれています。
そのなかでも特にゴシック体と明朝体は利用媒体が多く、新聞は明朝体、雑誌やWebの見出しはゴシック体で書かれていることが多く、生活になじみのあるフォントです。

この記事ではゴシック体と明朝体にフォーカスし、その歴史やそれぞれのフォントが与える印象について解説します。
またフォントを組み合わせた使い方やデザインに従事する私たちができることについても考えてみました。

ゴシック体と明朝体の歴史

フォントの代表選手であるゴシック体、明朝体はどのようにして生まれたのでしょうか。
ゴシック体はアメリカの書体家(デザイナー)が開発した書体、明朝体は中国の宋時代の木版印刷の発展から発生した文字です。

ゴシック体の誕生

15世紀の中期、ヨハネス・グーテンベルクの印刷技術から生まれたラテン文字が、後に「ドイツ・ゴシック」として知られるようになりました。
各国に広まりましたが、装飾が多く、特徴的な書体は読みにくく、別の書体に応用する国もあったようです。

20世紀になるとドイツ・ゴシックを応用したサンセリフ体(文字の太さが一様の文字)が登場し、なかでもアメリカのデザイナー、モリス・フュラー・ベントンが監修したサンセリフ体はAlternate Gothic(オルタネート・ゴシック)」と名付けられました。

このオルタネート・ゴシックが日本に輸入され、ゴシックとして定着し、さらに和文のオリジナルのゴシック体がデザインされて今にいたります。
日本でのゴシック体は、欧米のサンセリフ体に相当するものといえます。

明朝体の誕生

明朝体は、日本で名づけられたフォントで、中国宋時代の木版印刷から発展した字の形です。
明時代に定着し、中国では「明朝体」を「宋(SONG)」と呼び、明朝体の祖形になっています。

日本では天和3年に僧の鉄眼が鉄眼版一切経を復刻出版した際の文字が明朝体のルーツとされています。
のちに、江戸時代中期、漢籍の模刻を行う段階でほぼ現在の明朝体の骨格が形成されていたと言われています。

18世紀に西欧諸国のアジア進出により活字の現地製造が可能になりました。
その影響を受け、日本では幕末に本木昌造が活字伝習所を設立。印刷技術の講師として招かれた宣教師ウィリアム・ギャンブルが持ち込んだ明朝体活字と元から国内にあった明朝体の骨格から現在の明朝体が生まれました。

フォントが読み手に「与える印象」

ゴシック体、明朝体それぞれの特徴と、読み手に与える印象について考えてみましょう。
ゴシック体は一般的に現代的、明朝体は古典的な印象です。

ゴシック体の印象
・強い主張 ・親近感 ・安定感 ・カジュアル ・洗練 ・子供っぽい

明朝体の印象
・真面目 ・優雅 ・上品 ・古典的 ・和風 ・大人っぽい

掲示物向きの「ゴシック体」

ゴシック体は横棒の最後の三角形(うろこ)のない書体で、はねやはらい部分であってもすべての線の太さが均一である特徴があります。
視認性が高く、遠くからも読みやすく、力強い印象を与えます。

主に見出しや広告、ポスターなどで使用され、目立たせる効果があります。
一方で、ページにびっしり長文のゴシック体が並ぶと黒い部分が多くなることから、文にすると読みにくくなり、本文のフォントとしては不向きといえます。

字形や太さによって異なる印象を与え、細いゴシック体は洗練、太いゴシック体は力強さを、角ゴシックと丸ゴシックはそれぞれ軽い感じ、強い主張をアピールするなど異なる雰囲気を印象づけます。
発表資料やポスターなど「見る」文章では特に有効で、デザインにも影響を与えます。

読み物向きの「明朝体」

明朝体は、縦線が太く、横線が細い線の太さの違いと横棒の最後の三角形(うろこ)装飾や「はね」「はらい」による躍動感に特徴があります。

文字に動きがあり、毛筆のような手書き感を演出できることから、可読性が高く、新聞や教科書の本文に多く使用され、一番よく見かけるフォントが明朝体といえるでしょう。

フォントの太さによって、真面目さや高級感、上品さを印象づけることができ、洗練されたイメージを印象づけます。
しかし、解像度の低いディスプレイでは細部が表示しづらく、文字部分が割れて見えることもあるので、その点に注意が必要です。

明朝体は長文に向き、読み手に負担をかけずに情報を伝える効果があります。

バリエーション豊富なフォント

フォントの代表というべき明朝体とゴシック体について見てみました。
文章のなかで、それぞれの特徴を活かした使い方もひとつの方法として見かけます。
また、デザイン技術の進歩により、フォントもさまざまなタイプが登場しています。

ゴシック体と明朝体をミックスさせた使い方

明朝体とゴシック体を組み合わせることで、テキストの強調や視覚的なバリエーションを加えることができます。
多くの使い方は明朝体の文章での見出しや強調する部分にはゴシック体を使う方法です。
例:「この商品は限定販売中です」

また、異なる言語や専門用語を表示するときに、その部分をゴシック体で表示することで、読者に対して異なる内容を示すことができます。
例:「このプロジェクトではデザインイノベーションが重要です。」

ほかにも、キャラクターのセリフや文章の引用部分をゴシック体にすることで、それが別の声や視点からのものであることを示すことができます。
例:小説で使われるのダイアログ
明子は言いました、「彼は私に向かって『君は本当に強い』と言ってきたの。」

デザイン技術の進歩

フォントデザインは、デジタル技術の進化によって大きく変わってきました。
可変フォントの登場により、サイズ、ウェイト、太さなどパラメーターを調整してさまざまなスタイルを柔軟に提供できるようになっています。

また、AIの力を借りて新しいフォントが生まれることも増えています。
さらに、読みやすさや視覚的な魅力を向上させるために、ユーザーエクスペリエンスの向上にもフォーカスされてフォントのデザインが行われています。

ハブリッドなフォントの登場

デジタルによるデザイン技術の進歩により、ゴシック体(モダンなデザイン)と明朝体(伝統的な書体)の要素をうまく取り入れたハイブリッドなフォントスタイルも登場しています。

これにより、クラシックな雰囲気とユニークな現代的なデザインが組み合わさったフォントが生まれます。
ハイブリッドフォントは、ロゴデザイン、見出し、ポスター、広告など、さまざまなデザインプロジェクトで使用されることがあります。

ハイブリッドフォントには、ゴシック体と明朝体の組み合わせに限らず、手書き風の要素とサンセリフ(無装飾)の要素を組み合わせたものや、伝統的なセリフフォントとモダンなデザインを組み合わせたものなど、さまざまなバリエーションが存在します。

私たちができること

デザインに携わる私たちは、これから無限に存在するフォントをどのように扱っていくべきか考えてみました。

フォントの得意を知る

フォントの多様性は、デザイナーにとって力強いツールとなっていきますが、その選択はプロジェクトの成功に大きく影響します。
フォントの得意を知ることは、効果的なデザインを作成するための重要なステップといえるでしょう。

フォントの得意を知るためには、以下のポイントに注目するべきだと考えます。

スタイルの認識
さまざまなフォントのスタイルを理解し、どのスタイルがどのような印象を与えるかを知ることが大切です。

内容と目的
デザインの用途やターゲットに適したフォントを選ぶことで、効果的なメッセージの伝達が可能です。

読みやすさ
適切な文字の大きさや行間を設定することで、テキストの読みやすさが大きく変わってきます。

ブランドの一貫性
ブランドのスタイルに合致したフォントを選び、一貫性を保つことがブランドの認知度向上に寄与します。

ふさわしいフォントを選ぶ

フォントの選択はデザインのなかで重要な役割を果たすため、慎重な検討と試作が求められます。
適切なフォントを選ぶことで、デザインのメッセージや感情を効果的に伝えることができるでしょう。

テーマと目的
フォントが伝える雰囲気や感情が、デザインのコンセプトと一致することがポイントです。

一貫性
複数のフォントを使用する場合、それらが一貫性を持つようにサイズや位置、カラーなどを調整します。

相性
複数のフォントを併用する場合、それらの相性を考慮します。
見た目の調和も大切です。

読みやすさ
テキストの読みやすさを確保するために、フォントの大きさや文字間、行間、余白なども重要です。

実際の表示
フォントと合わせたデザインが実際のメディアやプラットフォームでどのように表示されるかも考慮に入れます。出版物であれば試作品をつくります。

まとめ

ゴシック体と明朝体の誕生と歴史、それぞれの特徴、読み手への印象に焦点を当てて考えてみました。
ゴシック体は力強く、現代的な印象を与える一方、明朝体は古典的で洗練された雰囲気を持ちます。

フォントを組み合わせた使い方や、デジタル技術の進歩による新しいフォントスタイルの登場により、フォントの世界は無限に広がっています。
デザインに携わる私たちは、フォントの特性を理解し、目的やブランドに合わせて適切なフォントを選ぶ重要性をもっと認識していく必要があると感じています。

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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