制作費 | 49,800円 | (税込54,780円) |
---|---|---|
維持管理費 | 月額3,980円 | (税込4,378円) |
まほろばブログ
BLOG
士業専門のホームページ制作会社 |
BLOG |
2023.12.01|デザイン
Webデザインとユーザーエクスペリエンスの向上は、現代のデジタル環境においてますます重要となっています。また、ユーザーがWebサイトやアプリケーションを使いやすく、効果的に操作できることは、ビジネスの成功につながるでしょう。
この記事では、そのなかでも特にフィッツの法則(Fitts's law)というデザイン原則に焦点を当て、その重要性と活用方法、課題について解説します。
目次
フィッツの法則は、動作の複雑さやターゲット(動作の目標地点)までの距離に応じて、人間の行動をモデル化する方程式です。具体的には、「ターゲットのサイズ」と「ターゲットまでの距離」「ターゲットの認識しづらさ」との相関関係を説明します。
フィッツの法則は、人間の行動時間とターゲットの特性に関する予測モデルで、Webデザインやユーザーインターフェース設計に重要な要素です。この法則によると、ターゲットまでの距離とターゲットのサイズが、アクションの実行にかかる時間に影響します。つまり、ターゲットが大きくて近いほど、アクセスが迅速になるという説明です。
フィッツの法則は、Webデザインやユーザビリティ向上において不可欠なツールとして広く利用されており、その有用性は証明済みです。
フィッツの法則は、ポール・フィッツによって1954年に提唱されました。フィッツは第二次世界大戦中に飛行機のコックピットデザインに関する研究を行い、ヒューマンエラーがデザインの不備に起因することを主張しました。
その後、シャノンの情報理論に影響を受け、ジョージ・ミラーの記憶研究と合わせて人間の動作能力を調査しました。この調査がフィッツの法則の発見につながっています。
コンピューター内のデスクトップにあるポインターとターゲットの関係をフィッツの法則の数式で表すと次のようになります。
T = a + b log2 (D/W + 1)
T=ユーザーがアクションを起こす時間
a = ポインター移動の開始・停止時間(実験に基づく定数)
b = ポインターの速度(実験に基づく定数)
D = ポインターとターゲットの中心までの距離
W = ターゲットの大きさ(ポインターから見た奥行き)
数式だけを見ると複雑で難しい理論のようですが、「ターゲットのサイズが大きい(分母)ほどポインターの移動時間が短い」と表現できます。
フィッツの法則とWebデザインとの関連性について理解を深めましょう。次の項目について解説します。
・Webデザインとの関連性
・ユーザー行動への影響
フィッツの法則は、ユーザーがWebサイトの画面上の要素を選択するときの時間と正確さに関する原則として考えられます。つまり、Webサイト上でユーザーがボタンやリンクのクリックをしやすくするため、ボタンやリンク部分のサイズやデザイン、配置の最適化に役立ちます。
ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスを向上させるために、Webデザイナーはフィッツの法則を考慮して要素の配置とデザインを詳細に検討する必要があるでしょう。
Webデザインの販売ページにおいて、人間の視点移動とフィッツの法則は重要な役割を果たします。Webサイト上の視線は左上から「Z」の文字を描くように移動します。そこで、ボタンやリンク部分のような要素のサイズと視線移動に沿ったわかりやすい配置に変更することはユーザーの行動に大きな影響を与え、コンバージョン率の向上が期待できるでしょう。
大きな「購入ボタン」や重要な情報への短い距離を提供するデザインは、ユーザーが早く確実に購入や詳細情報閲覧などの行動を起こしやすくなります。これにより、ユーザーエクスペリエンスが向上し、売上が増加する可能性が高まります。
フィッツの法則はWebデザインの随所に活用できます。
・クリック操作の最適
・メニュー設計とナビゲーションの改善
・ユーザーへのメッセージ伝達
フィッツの法則は、Webデザインにおいてクリック操作を最適化する重要な原則です。この法則によれば、ターゲットの大きさと距離がクリックの効率に影響を与えます。具体的には、大きなターゲットや視線の近くに配置された要素は、ユーザーが簡単にクリックできるということです。
特にユーザーのアクションを促進する狙いのWebデザインでは、この原則を活用することで大きな効果が得られるでしょう。ボタンやリンクを大きく表示したり、操作頻度の高い要素をわかりやすい位置に配置したりすることで、ユーザーが自然に目的を達成できるようになります。
メニューやナビゲーションは、ユーザーがスムーズに情報にアクセスできるようにするために、以下のポイントを考慮しましょう。
①シンプルで直感的なメニュー構造
②ラベルとアイコンを組み合わせ
シンプルで直感的なメニュー構造と明瞭なリンク表示でユーザーは感覚的にターゲットに到達できます。また、簡易的なラベルとアイコンを組み合わせることで、わかりやすいナビゲーションになるでしょう。
次にスマートフォンなどのモバイルデバイスにも対応し、さまざまなアクセス方法でメニューが適切に表示されるような工夫も大切です。そのためにはユーザーテストからフィードバックを収集し、改良を重ねることが成功の鍵です。
使いやすく洗練されたメニューとナビゲーションは、ユーザーの満足度を高め、サイトの効果的な情報伝達とコンバーションを可能にします。
フィッツの法則を活用して、重要なCTA(Call To Action)や情報へのリンクを目立たせ、目標達成に向けた一連のステップをシンプルに案内することで、こちらからのメッセージを伝えることが可能です。また、視覚的なヒエラルキーを確立し、ユーザーが情報の優先順位を理解しやすくします。
また、フィッツの法則を応用して、エラーメッセージや成功メッセージのデザインも改善できます。ユーザーが誤ったアクションを取った場合、わかりやすい方法でエラーを示し、修正のためのヒントを提供します。成功メッセージは、ユーザーに達成感を与え、次のステップに進む励みになるでしょう。総じて、フィッツの法則を適切に活用することで、Webサイトやアプリケーションのメッセージ伝達が効果的に行われ、ユーザーに好意的な印象を与えることができます。
フィッツの法則にもいくつか課題があります。
・適用範囲と制約
・他のデザイン原則との関係
フィッツの法則は、操作の速さと正確さに関しては重要な指針ですが、特定の制約が存在します。たとえば、物体の大きさや距離が操作時間に与える影響が無視できないことです。小さな対象物の選択や遠くの対象物への操作は時間がかかります。つまり、情報の複雑さや選択肢の数に左右されるといえます。
したがって、デザインやユーザビリティの文脈でこの法則を使用する場合は、適用範囲と制約を適切に考慮することが不可欠です。
特に、フィッツの法則は、操作の速さと正確さにフォーカスしますが、他のデザイン原則とどのように調和するかが重要です。
たとえば、視覚的な魅力や情報の階層化などのデザイン原則は、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために必要です。しかし、これらの原則とフィッツの法則とが衝突する場面も存在します。操作対象が小さい場合、視覚的なターゲットを大きくすることが必要ですが、デザインの美しさを損なう可能性があります。
解決策として、フィッツの法則とほかのデザイン原則との適切な統合を考慮することが重要です。ユーザビリティテストやユーザーフィードバックを活用し、仕様を随時調整しながら「顧客満足度」を最適化するデザインアプローチを見つけることが不可欠といえます。
フィッツの法則は、Webデザインとユーザーエクスペリエンス向上において非常に重要な原則であり、ユーザーの操作時間や効率に大きな影響を与えます。私たちデザイナーはこの法則を理解し、適切に活用することで、Webサイトやアプリケーションの使いやすさを向上させ、ビジネスの成功につなげることができます。
Webデザインの今後において、フィッツの法則は継続的に重要性をもつでしょう。ただ、使用範囲の制約や他のデザイン原則との調和などいくつか課題もあります。デジタル技術の進化とともに課題と向き合いながら常に最善の方法を探ることが不可欠になるでしょう。
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
こちらの記事もどうぞ
カテゴリ