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2023.06.28|経営・マーケティング
『わしは張良、蕭何、韓信の三人をよく用いることができた。これが天下を取った所以だ』−劉邦
紀元前206年から紀元前202年にかけて繰り広げられた楚漢戦争。この戦争で歴史の舞台に君臨したのは2人の英雄、項羽と劉邦です。この両雄の戦いは、最終的に劉邦が戦略を柔軟に変えることで勝利を掴みます。この勝負の明暗を分けた要因に「学習する組織」のエッセンスを感じずにはいられません。
項羽と劉邦はまったく異なる組織を作り上げていきます。
項羽と言えば、勇猛さと力強さで知られた猛将。しかし、秦の首都咸陽を焼き討ちにしたエピソードは、彼が短絡的な勝利に溺れ、長期的な視野が欠けていたことを示しています。項羽は独断的な行動に走り、組織の学習能力を制限していきました。
一方の劉邦は、情報を重視し柔軟性を兼ね備えた智将。劉邦が酈食其の助言を聞き入れ、早期に秦の首都咸陽を占領したエピソードは「学習する組織」の価値を際立たせます。
劉邦のように組織の意見を尊重し、時には自身の過ちを受け入れる柔軟性。
これが「学習する組織」を形成する1つのキーポイントになるのです。
目次
1990年にマサチューセッツ工科大学上級講師のピーター・センゲ氏によって提唱された「学習する組織」。この概念が今、企業経営者の注目を集めています。
「学習する組織」とは、組織全体が継続的に学習し、成長を遂げる組織のことを指します。管理型組織から脱却し、従業員自らが考え、行動する組織です。この「学習する組織」を構築するのは「7つの学習障害」と「5つのディシプリン」と言われています。
「7つの学習障害」とは以下7つの概念を指します。
それでは項羽の作り上げた組織を通して、「7つの学習障害」を見てみましょう。
項羽は自身を英雄として見ており、自身の失敗を認めませんでした。また、戦いは常に攻撃的であり、次第に悪化する状況でも自身の運命を正しく認識できなかったのです。そして、部下たちも項羽を絶対的な英雄として見ていたため、項羽の意見に異を唱えることができませんでした。
このエピソードから、学習する組織「7つの学習障害」の概念を垣間見ることができます。
自分の責任は、自分の職務の範囲だけと自ら制限をかける。組織全体の共同責任感を減退させ、全体的な成果に対する視野を狭めます。
問題が起こったとき、他人や外部要因を責める。問題の本質的な解決を妨げ、自己改善の機会を失います。
問題に直面すると、他人に対して攻撃的な態度を示す。他人を攻撃することで自己の防衛を図り、問題の解決を放棄します。
個々の出来事に過度に注力し、全体像から視線を逸らす。組織全体としての長期的な視野を見失います。
急激な変化にだけ囚われ、緩やかな変化に注意を払わない。徐々に進行する脅威に気付けません。
なによりも経験から学ぶことを重要視する。直接的な経験で得られる内容に固執し、重要な決定の妨げになります。
問題を解決するよりも、経営方針を守る人材を評価する。経営幹部は批判的な検討をしなくなり、組織の改善が停滞します。
「5つのディシプリン」とは以下5つの概念を指します。
ここでは、劉邦の作り上げた組織を通して、「5つのディシプリン」を見てみましょう。
劉邦は、部下や仲間の声に耳を傾け、素直に受け入れました。部下から学ぶことを恥としない彼の元には、多くの優秀な人材が集まります。そして、自分の意見や考えを部下や民衆に伝え、共有することを忘れませんでした。この考えこそが、劉邦が多くの人々の支持を集め楚漢戦争を勝利に導くことができた重要な要因なのです。
全体像を理解する力です。組織全体の視点から問題を捉えることで、部分的な解決策ではなく継続的な解決策を見つけることが可能になります。
各個人が自分の能力を最大限に引き出す力です。これは各メンバーが自分の職務を極めるように努力することで、組織全体のパフォーマンスが向上します。
全員が共有するべき未来のビジョンです。共有ビジョンがあることで、組織全体が一致団結して目標に向かえます。
一人一人が学ぶだけでなく、組織全体が学び、成長する力です。全員が互いに学び合うことで、組織として大きく成長できます。
自分自身や組織、そして他人の思考パターンを認識する力です。本人の思い込みや無意識の意思決定を認識することで、組織の改善に貢献できます。
項羽と劉邦の組織には大きな違いがありました。それは「対話」です。
部下との対話を拒絶し、自身の考えを押し通した項羽。
部下との対話を大切にし、自身の考えを改めた劉邦。
どちらが組織としての機能を果たしていくかは、言うに及ばないでしょう。
そして、中小企業が「学習する組織」を作るために大切なこと。これもまた、対話であると考えます。誰もが意見を出し合い、認め合う環境が確立されれば、部下や仲間は自ら考え行動を起こしていきます。
それでは、企業が「学習する組織」を実現するために行った具体的な事例を紹介します。
トヨタ自動車といえば、「トヨタ生産方式」や「現地現物の原則」の施策で飛躍的な成長を遂げた企業です。この施策の数々に「学習する組織」の概念が組み込まれています。
例えば「トヨタ生産方式」。このシステムは、問題が生じた時に個々の判断に焦点を当てるのではなく、組織全体として問題がないかを見つめ直します。また「問題は改善のチャンス」と捉えているので、従業員は問題が起こっても隠すことはありません。その問題から学び、成長の糧とするのです。この考えが組織全体の進化に繋がっています。
OUR MISSION
「人々の心を豊かで活力のあるものにするために—
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」
これは、スターバックスの経営理念のひとつ「ミッション(存在意義)」です。
スターバックスといえば、居心地が良く、つい長居してしまうカフェ。常連で通っている方も多いのではないでしょうか。なぜ居心地が良いのか。従業員一人ひとりに、この理念が行き渡っている証といえるでしょう。
さて長く続いた楚漢の戦いも、垓下城でその最終局面を迎えます。周囲を漢軍に取り囲まれた項羽は、もはや風前の灯火。ある夜、取り囲んでいる漢軍の中から項羽の祖国である楚の歌が聞こえてきます。これを聞いた項羽は、自国の兵までもが寝返って自分を取り囲んでいると思い、観念。その生涯に幕を閉じるのでした。これが世に聞こえる「四面楚歌」です。
「学習する組織」とは、対話を通して経営者と従業員が共に学び、共に成長し続ける組織です。今、従業員の声はどこから聞こえているでしょうか。社内ならばヨシですが、もし社外から声が聞こえているのならば、すぐにでも組織の在り方を見直すべきではないでしょうか。
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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