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「代打、川相」生き残りをかけて選んだSTP戦略

2024.02.01経営・マーケティング

「代打、川相」

このアナウンスが球場に流れると、味方チームはもちろん、ファン、そして敵チームですらもこの後の展開をある確信を持って見守ります。

川相といえば、バント。

川相昌弘は、日本プロ野球史にその名を刻む名選手です。彼の代名詞でもあるバントは、通算533本の世界記録を誇り、通算犠打成功率はなんと9割を超えます。この数字こそが、川相を「バントの神様」といわしめる証と言えるでしょう。

犠牲打とも呼ばれるバントは、文字どおり自分の打席を犠牲にしてランナーを進塁させるチーム戦術です。ホームラン数や打率といった目にみえる華やかな数字とは違い、バントは一見地味。「あまり進んでやりたくない」と感じている選手もいるかもしれません。

しかし、川相はこのバントに自分の居場所を見出しました。これは、中小企業がSTP戦略を理解する上での絶好の例えとなるでしょう。

大企業にはない独自の強みや特技を見つけ、それを活かした独自の戦略を立てること。そして、市場において自社を明確にポジショニングすること。これらは、競争の激しいビジネスの世界で成功を収めるために不可欠な要素です。

自らの特技を磨き、それを戦略的に活かした、川相昌弘のバントのように。

STP戦略とは

中小企業が競争の激しい市場を生き残るための鍵は、STP戦略です。

STP戦略とは、セグメンテーション(市場分割)、ターゲティング(ターゲット市場選定)、ポジショニング(市場における自社の位置づけ)の3つのステップからなる戦略です。あらゆるビジネスにおいて成功の要とされています。

しかし、多くの企業がこの戦略の真の価値を見落とし、市場でのチャンスを逃しています。ここでは、STP戦略がどのようにビジネスに役立つのかを解説します。

セグメンテーション(Segmentation)とは市場を分割すること

「セグメンテーション」とは、市場を細分化し自社が戦う戦場を特定するプロセスです。

ジャイアンツ在籍時代の川相は、野球という大きな市場の中で、自身の特技であるバントに焦点を当てました。

当時、ジャイアンツには長打力に自信のある選手が豊富に揃っており、生き残りが必死の激戦区でした。多くの選手が長打や打率の数字を目指す中、川相はバントを選択します。

野球で点をとるには、長打や打率だけでは成立しません。バントや走塁などさまざまな戦術が必要になります。川相がバントの役割を選択したことで、ジャイアンツはチーム戦術の幅が広がっていきました。

そして、川相はジャイアンツにとって唯一無二の存在になっていきます。

中小企業におけるセグメンテーションも、まずは市場を意味のある小さなグループに分割することから始めます。

たとえば、年齢や性別、ライフスタイルなどによって顧客をグループ分けしていくのです。この段階で重要なのは、自社の製品やサービスが最も響く可能性のある顧客層を見つけることです。

ターゲティング(Targeting)とは戦う市場を決定すること

次に「ターゲティング」です。

現役にこだわる川相は、ジャイアントからドラゴンズに移籍し、控え選手として活躍します。「代打」は、バントによる出場機会を増やす絶好の市場だったのです。また、川相が得意とする守備も試合後半に活きてくるケースが多く、「代打からの守備固め要員」として存在感を発揮しました。

ターゲティングは、ビジネスで戦うべき市場を選定するという、まさに「的を絞る」行為です。この段階で正確な選定を行うことが、ビジネスの成功にも直結していきます。また、選定した市場の動向を定期的に分析し、必要に応じて戦略を調整する柔軟性も必要です。

市場は常に変化しているため、ターゲティングは一度きりのものではなく、継続的なプロセスであることを忘れてはなりません。

ポジショニング(Positioning)とは自社の差別化

最後に「ポジショニング」です。

川相のバントは、単なる技術ではなく、彼自身のブランドとしての地位を築きました。川相は「バントの神様」「バントの名手」と称されるほどの犠打の名手として名を馳せました。これは、味方チームには揺るぎない安心感を。相手チームからは曲者として恐れられる存在に。そして、ファンからは期待を裏切らない愛される選手へと成長を遂げたのです。

ポジショニングで重要なのは、自社の持つ独自性と顧客のニーズが交差するポイントを見つけ出すことです。たとえば、地域に密着したカフェでは、地元産の食材を使用したメニューや親しみやすさを大切にすることで、大手チェーン店とは異なるポジショニングを確立できるでしょう。また、ポジショニングにおいても定期的な見直しは必要です。

市場の変化や顧客のニーズの変動に応じて、ブランドや製品の位置づけを見直し、常に魅力的な存在であり続けることが求められます。

失敗しないためセグメンテーションの正しいやり方

効果的なセグメンテーションを行えば、市場での存在感を高め、限られたリソースを最大限に活用できます。

ここでは、セグメンテーションのおもな基準とアプローチにおけるポイントを解説します。

セグメンテーションの基準

セグメンテーションの基準は、市場を正確に理解し、効果的な戦略を立てるために不可欠です。セグメンテーションは大きく分けて次の4つに分類されます。

  • 地理的セグメンテーション(地域、国、都市、人口密度など)
  • 人口統計的セグメンテーション(年齢、性別、世帯構成、収入、職業など)
  • 心理的セグメンテーション(ライフスタイル、価値観、パーソナリティなど)
  • 行動的セグメンテーション(購買頻度、購買金額、ブランドに対する態度など)

地理的セグメンテーションは、市場を地域や都市、気候などの地理的要素によって分類します。たとえば、寒冷地域向けの防寒ウェアや、熱帯地域向けの日焼け止め製品などがこれに該当します。

人口統計的セグメンテーションは、年齢、性別、収入、教育レベルなどの客観的なデータに基づきます。たとえば、若年層向けのファッション製品や、高収入層向けの高級車などがこれにあたります。

心理的セグメンテーションは、ライフスタイルや価値観、性格などの内面的要素を基に分類します。環境に配慮した製品や、冒険心を刺激する旅行プランなどが例です。

行動的セグメンテーションは、購買行動や製品使用頻度などの行動パターンに基づくものです。頻繁に映画を観る人向けの定額制映画鑑賞サービスや、特定のブランドが好きなファン向けの購入プログラムなどがこれに該当します。

これらの基準を組み合わせることで、より精密な市場セグメンテーションが可能になります。

セグメンテーションで押さえておくべきポイント

セグメンテーションで失敗しないためのポイントを以下に挙げます。

まず、市場の細分化を行う際には、実現性と効果のバランスを見極めることが大切です。あまりに細かすぎるセグメントは、市場が小さくなりすぎてビジネス機会が限られてしまいます。また逆に大まかすぎると、特定のニーズに合った戦略を立てにくくなるでしょう。

次に、セグメンテーションは静的なものではなく、市場の変化に応じて柔軟に適応させる必要があります。消費者の行動やニーズは時間と共に変化するため、定期的な見直しとアップデートが重要です。

さらに、セグメントを定義する際には、その特性を明確にし、各セグメントが独立していることを確認することが重要です。セグメント間の明確な区別がなければ、効果的なマーケティング戦略を立てることが難しくなります。

最後に、セグメンテーションは、客観的なデータと主観的な洞察の両方を組み合わせることで、より効果的になります。市場調査やデータ分析に加え、顧客インタビューやディスカッションなどを活用して、直接的な顧客の声を採り入れることが有益です。

STP戦略の成功事例を紹介

STP戦略の実践的な価値は、具体的な成功事例を見ることでより理解が深まるでしょう。

ここでは、「株式会社しまむら」と「株式会社ヤッホーブルーイング」のSTP戦略の活用事例を紹介します。

株式会社しまむら

「しまむら」といえば、日本を代表する大手アパレル小売チェーンのひとつです。手頃な価格でファッションアイテムを提供することで知られており、幅広い年齢層の顧客に向けて多様な商品を展開しています。

まず、セグメンテーションは「ファッションに関心はあるが、価格に敏感なファミリー層」と設定できます。

次に、ターゲティングです。実際に店舗に足を運んだことがある人なら気付くかもしれませんが、ラインナップのほとんどが女性向けです。つまり、先ほどのファミリー層の中でも特に「主婦層」をターゲットにしていることが推察できます。

そして、ポジショニングでは「おしゃれで豊富なレディースファッションを、手頃な価格で提供する」というブランドイメージを確立しました。

このSTP戦略により、しまむらは価格競争が激しいアパレル市場において、独自の地位を築くことに成功したのです。

株式会社ヤッホーブルーイング

次の事例は、日本のクラフトビール市場で注目を集める株式会社ヤッホーブルーイングです。この企業は、独自のSTP戦略を駆使して市場での地位を確立し、多くのビール愛好家から支持を得ています。

まず、セグメンテーションでは「ビールが好きで、好んで缶ビールを飲む層」と設定できます。このセグメント層を、ターゲティングでさらに絞り込んでいきます。

ヤッホーブルーイングは「ビールはおじさんが飲むもの」というイメージで、ビール離れが進んでいるアラサー世代や女性層に焦点を当てました。

同社の商品ラインナップは、「水曜日のネコ」「僕ビール君ビール」など、ユニークなネーミングやゆるいイラストが特徴です。この特徴が、独自性を重視するアラサー世代や女性層の目を引く結果に繋がりました。

ヤッホーブルーイングは、競争の激しいビール市場の中にあるニッチな層に独自の地位を築き上げることに成功したのです。

これらの事例からも、STP戦略がいかに市場で成功を収めるために効果的なツールであるかがお分かりいただけるでしょう。

まとめ

STP戦略は、中小企業が生き残るために不可欠なツールです。

セグメンテーションは、市場を理解し顧客のニーズに合わせたアプローチを見つけるための第一歩。そしてターゲティングにより、限られたリソースを最も価値のある顧客群に集中させる。最後に、ポジショニングで市場での独自のブランドイメージを確立し、競合から差別化を図る。

市場を正しく理解し、適切な顧客に焦点を当て、独自のブランド価値を築くことでビジネスは成長し、競争に勝ち抜けるのです。

『バントで勝負しようとか、そういう気持ちはなかった。レギュラーを取るためにやらなければならないことのひとつだった』-川相昌弘

川相は、バッティングを捨てたわけではありません。自らが生き残る術として「バント」を選択し、それを磨き続けたのです。

今、野球で知っている人は?と問われると、誰もが思い浮かべるのは世界の二刀流・大谷翔平選手やレジェンド・イチローでしょう。

では、バントといえば誰を思い浮かべますか?

ここで名前がすぐに思い浮かぶことこそが、STP戦略の成功と言えるのではないでしょうか。

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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