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2024.04.22|経営・マーケティング
中小企業がビジネスの世界で生き残るには、情報や技術を追い求めるだけでは不十分です。なぜなら、情報や技術だけでは大企業に模倣され競争に負けてしまうからです。
しかし、ストーリーは違います。情報や技術に命を吹き込み、感情を揺さぶり、そして記憶に残ります。何よりも「他社が真似できない」ストーリーこそが重要な財産になるのです。
『注文すれば必ず「明日に来る」』-アスクル
アスクル(ASKUL)は、日本のオフィス用品通販業界のリーディングカンパニーです。1993年の創業以来、「お客様のために、もっと便利で快適なサービスを提供したい」という想いを胸に事業を拡大してきました。
アスクルの成功は、まさにストーリーテリングの力を物語っていると言えるでしょう。創業者の想い、お客様第一主義の価値観、社会貢献への取り組み。これらのストーリーが、アスクルのブランドイメージを形作り、顧客や社会との強い絆を生み出しています。
本記事では、ストーリーテリングの重要性についてアスクルの事例を交えながら解説していきます。
目次
ビジネスにおいて、人を動かすことは非常に重要です。そして、そのためには次の3つの要素を理解しなければいけません。
それではひとつずつ見ていきましょう。
まずは「論理」。つまり、ロジックや情報です。データや事実に基づいた説明は、相手の理解を促し、説得力を増します。例えば、自社の製品やサービスの優位性を示す際には、具体的な数値や事例を用いることで、相手への信頼性を高めます。
アスクルは、お客様の声を商品開発に反映させることで、品揃えの充実や使いやすさの追求といった論理的な価値を提供しています。その豊富なラインナップは、事務用品のみならず飲料水やお茶受け、制服にも及び、翌日には揃ってしまうのです。その数は、2023年3月時点で1,200万点以上にのぼります。
次に「感情」。人は感情に動かされる生き物です。共感を呼び起こし、インスピレーションを与えることで、相手の心を動かすことができます。自社の想いや価値観を伝える際には、ストーリーを交えて相手の感情に訴えかけるのが効果的です。
アスクル創業者である岩田彰一郎氏の「お客様のために、もっと便利で快適なサービスを提供したい」という想いは、多くの人の共感を呼んでいます。顧客の声を大切にし、それを事業に反映させる姿勢は、顧客満足だけにとどまらず社員や取引先との情緒的なつながりも強化します。
最後は「信頼」です。人格や信頼性は、人を動かす上で欠かせない要素です。相手からの信頼を得るためには、誠実さや一貫性、専門性を示すことが重要。日頃からの行動や実績が、説得力を与えることになるでしょう。
アスクルは、お客様第一主義という価値観を一貫して掲げ、それを行動で示してきました。品揃えの拡充、配送の迅速化、環境問題への取り組みなど、顧客や社会からの信頼を得るための努力を継続的に行っています。『注文すれば必ず「明日に来る」』を約束したオフィス用品。この姿勢が、アスクルのブランドイメージを支える信頼関係を築いているのです。
ストーリーテリングは、これら3つの要素をバランス良く含む必要があります。ストーリーの中で論理的な説明をストーリーとして表現し、感情に訴えかけ、信頼関係を構築する。これが、相手の心に響くメッセージにつながるのです。
ストーリーテリングには、大きく分けて3つのメリットがあります。
より詳しく見ていきましょう。
ストーリーテリングは、事業戦略を効果的に伝え、ステークホルダーの共感を得るための強力なツールです。
ストーリーには、聞き手の感情に訴えかけ、共感を呼び起こす力があります。事業戦略をストーリーとして語ることで、社内の従業員から、取引先、投資家、そして顧客に至るまで、あらゆるステークホルダーを巻き込み、組織に一体感をもたらすことができるのです。
ストーリーを通じて共感を生むことは、ステークホルダーの理解と協力を得る上で非常に重要です。共感を得られれば、従業員のモチベーションは上がり、取引先との関係が強化。顧客はあなたの製品やサービスを選び続けてくれるでしょう。
ビジネスにおいて抽象的な概念を具体的に伝えることは、非常に重要です。この点において、ストーリーテリングは大きな力を発揮します。
ストーリーは、抽象的な概念を具体的なイメージとして伝えることができます。例えば、「顧客満足度の向上」という抽象的な目標も、具体的な顧客の事例を交えたストーリーとして語ることで、より明確で説得力のあるメッセージとなるのです。
ストーリーテリングは、この論理的な流れを具体的に伝えるための有効な手段となります。戦略の全体像を、わかりやすいストーリーとして伝えることで、社内外のステークホルダーに対して、より明確で説得力のあるメッセージを届けることができます。
自社の戦略やビジョンを熱心に説いても、相手の記憶に残らなければ意味がありません。ここでカギとなるのが、ストーリーテリングの力です。
ストーリーは、情報を脈絡のある形で表現するため、聞き手の記憶に残りやすいという特徴があります。一貫性のあるストーリーと具体的なシナリオを組み合わせることで、聞き手の記憶に深く刻まれ、長期的な影響力を持つストーリーが生まれるのです。
バラバラの情報を羅列するのではなく、相手の心により深く、より長く記憶に刻まれる魅力的なストーリーを構成していきましょう。
ストーリーテリングの事例として、以下の3つを紹介します。
パタゴニアは、環境保護と持続可能性を重視するアウトドア用品ブランドとして、共感を生みやすいストーリーテリングに成功した企業のひとつと言えます。
創業者のイヴォン・シュイナードは、熱心なクライマーであり、環境活動家でもありました。彼自身の経験と価値観は、パタゴニアのブランドストーリーの中核を成しています。
パタゴニアは、「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というメッセージを掲げ、環境保護と企業の社会的責任を重視する姿勢を示してきました。例えば、「1% for the Planet」という取り組みでは、売上の1%を環境保護団体に寄付しています。また、「WornWear」プログラムでは、使い古されたパタゴニア製品を回収し、修理・リユースすることで、資源の無駄を減らしています。
これらの取り組みは、単なる企業の社会貢献活動ではなく、パタゴニアのブランド価値観そのものを体現するストーリーとして語られています。このストーリーは、環境問題に関心を持つ多くの消費者の共感を呼び、ブランドへの信頼とロイヤリティを高めているのです。
ナイキ(Nike)は、スポーツを通じて人々を励まし、モチベーションを高めるストーリーテリングに成功した企業のひとつです。
ナイキのストーリーテリングは、「Just Do It」というメッセージに集約されています。このメッセージは、1988年に登場して以来、ナイキのブランドアイデンティティの中核を成してきました。スポーツに挑戦する人々の心意気を表現すると同時に、人生のあらゆる場面で前進する勇気を与えるメッセージとして、多くの人々の記憶に刻み込まれています。
また、ナイキは著名なアスリートとのコラボレーションを通じて、ブランドの価値観を具体的なストーリーとして伝えています。例えば、マイケル・ジョーダンとのコラボレーションから生まれた「Air Jordan」シリーズ。ジョーダンのタレント性と努力、そしてスポーツへの情熱を物語るストーリーとしても有名です。
これらのストーリーは、人々の心に深く刻み込まれ、ナイキというブランドの独自性と魅力を生み出しているのです。
スティーブ・ジョブズは大学を中退後、自らの興味と直感を頼りに人生の道を切り開いていきました。
1976年、友人のスティーブ・ウォズニアックと共にApple社を設立。彼らは、パーソナルコンピュータの可能性を信じ、情熱を注ぎます。しかし、1985年、ジョブズは経営方針を巡る対立からApple社を去ります。Apple社を離れた後、ジョブズはNeXT社を設立。同時にPixar社を購入し、コンピュータアニメーションの制作にも乗り出しました。
1996年、経営の危機に直面したApple社はNeXT社を買収。そして、ジョブズは再びApple社に復帰します。CEOに就任したジョブズは、iMac、iPod、iPhone、iPadなどの革新的な製品を次々と生み出し、Apple社を世界で最も価値あるブランドへと成長させました。
ジョブズの人生は、情熱と信念、挫折と再起、そしてイノベーションと創造のストーリー。彼の生き方そのものが、人々を魅了するストーリーとなり、今もなお世界中の人々に影響を与え続けているのです。
本記事では、ストーリーテリングがマーケティング戦略において果たす重要な役割について解説してきました。
アスクルは、創業者である岩田氏の「お客様のために、もっと便利で快適なサービスを提供したい」という想いを原動力に、オフィス用品通販市場に参入。大手競合他社との競争に苦戦しながらも、「お客様第一主義」という企業理念を貫きます。そして、独自のサービスを展開することで、業界トップクラスの企業に成長したのです。
ストーリーテリングは、一朝一夕にはできません。しかし、一歩一歩着実に積み重ねていくことで、必ず心に残るストーリーを生み出すことができます。そうして紡がれたストーリーは、顧客の共感を呼び、ブランドへの信頼や愛着を深めていくのです。
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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