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外注からパートナーへ。フリーランス・副業人材を“自社の力”に変える外部人材活用の考え方

2025.12.24経営・マーケティング

多くの中小企業では、社外の専門人材と協力しながら事業を前進させる動きが広がっています。近年は、代理店や制作会社に依頼するよりもコストを抑えやすく、意思決定から実行までを素早く進められることから、フリーランスや副業人材を活用することも、特別な選択ではなくなってきました。

その一方で、「期待したほど成果が出なかった」「かえって社内の手間が増えてしまった」といった声があるのも事実です。外部人材の力は、誰を選ぶか、どう関わってもらうかによって、大きく効果が変わります。社外の力を単なる補助ではなく、事業を動かす本当の推進力に変えるためには、何が欠かせないのでしょうか。

必要なタイミングで、必要なスキルを持つ人材に頼みやすい時代になった

少し前まで、フリーランスや副業人材と一緒に仕事をするのは、スタートアップや一部の先進的な企業に限られた取り組みでした。ところが現在では、中小企業においても外部人材を活用する動きが急速に広がっています。

その背景にあるのが、働き方の多様化です。フリーランス市場は年々拡大し、クラウドソーシングやスキルマッチングのサービスが普及したことで、企業と個人が直接つながることが当たり前になりました。さらに2018年、政府が「働き方改革」の一環として副業・兼業の推進を打ち出したことをきっかけに、大企業でも副業を認める動きが進みました。その結果、平日の夜や週末に、自身の専門スキルを活かして働く会社員が増えています。

中小企業にとって、外部人材の活用は「人手不足」や「専門知識の不足」を補う、現実的な選択肢として定着しつつあります。たとえば、社内にWebマーケティングに詳しい人がいない、デザインを任せられる社員がいない、システム開発のノウハウがないといったケースは珍しくありません。こうした課題に対して、社員を新たに採用しようとすると、時間もコストも大きな負担になります。

その点、フリーランスや副業人材であれば、必要なときに、必要なスキルを持つ人材にピンポイントで依頼できます。かつては、代理店や制作会社に外注できるのは大企業や資本力のある企業に限られていましたが、今では小規模事業者でも無理のない形で専門家と協働できるようになりました。月に数万円から数十万円の予算で、高い専門性を持つ人材の力を借りられる時代になっているのです。

外部人材活用の3つのメリット

では、代理店や制作会社に依頼する場合と、フリーランスや副業人材に依頼する場合では、どのような違いがあるのでしょうか。外部人材の活用には、事業を進めるうえで見逃せない3つのメリットがあります。

コストの柔軟性

代理店や制作会社に依頼する場合、プロジェクト単位の契約が基本となるため、どうしても一定規模の予算が必要になります。あらかじめ決められた工程や体制がある分、柔軟な調整が難しいケースも少なくありません。

その点、フリーランスや副業人材であれば、時間単位や業務単位など、実情に合わせた契約が可能です。必要な業務を、必要な期間だけ任せられるため、限られた予算の中でも無理なく活用できます。また、間に組織を挟まないため中間マージンが発生せず、同じ内容でもコストを抑えやすい点も大きなメリットです。

スピード感

代理店や制作会社に依頼する場合、営業担当、ディレクター、実際の作業者と役割が分かれていることが多く、どうしても意思決定や情報共有に時間がかかりがちです。さらに、複数の案件を同時に抱えているため、着手までに調整が必要になることも少なくありません。

一方、フリーランスや副業人材と直接やり取りする場合は、判断と実行の距離が近くなります。相談から対応までのスピードが速く、状況に応じた細かな修正や方針転換にも柔軟に対応してもらいやすい点が大きな強みです。事業の変化に合わせて、テンポよく進められることは、中小企業にとって大きな価値といえるでしょう。

専門性へのアクセス

フリーランスや副業人材の中には、特定分野で長年にわたり実務経験を積んできたプロフェッショナルが数多くいます。たとえば、SEO対策に特化したマーケター、特定の業界事情を深く理解しているライター、UI/UXデザインを専門とするデザイナー、採用領域に精通したHRのプロフェッショナルなど、その専門性は多岐にわたります。

企業側は、自社が本当に必要としている分野に絞って、ピンポイントでこうした人材に依頼することができます。幅広く対応する体制ではなく、特定領域に強みを持つ人の知見を直接活用できる点は、外部人材ならではの大きなメリットといえるでしょう。

「思ったより機能しなかった」外部人材活用の失敗パターン

ここまで、外部人材を活用するメリットについて見てきました。しかし実際には、「期待していたほど成果が出なかった」「かえって手間が増えてしまった」と感じるケースも少なくありません。外部人材そのものが問題なのではなく、関わり方や前提条件によって結果が大きく左右されます。ここでは、よく見られる失敗パターンをいくつか整理してみましょう。

稼働時間や業務範囲が曖昧なまま進めてしまう

稼働時間や業務範囲をはっきり決めないまま契約を進めてしまうと、依頼する側と受ける側のあいだに認識のズレが生じやすくなります。企業側は「そこまで含めて対応してもらえるはず」と考えていても、外部人材にとっては「それ以上は契約外」という判断になることも珍しくありません。

こうしたすれ違いが重なると、成果物の内容やクオリティに不満が残ったり、納期の遅れにつながったりします。外部人材の力を十分に発揮してもらうためには、どこまでを依頼し、どの程度の時間や関与を想定しているのかを、事前に具体的に共有しておくことが欠かせません。

社内の受け入れ体制が整っていない

外部人材に業務を依頼しても、社内で誰が窓口を担当するのか、どの頻度で進捗を確認するのか、フィードバックをどのように伝えるのかといった体制が曖昧なままだと、外部人材は動きづらくなります。判断や確認に時間がかかり、本来の力を発揮できなくなってしまうのです。

その結果、社内のメンバーが都度指示を出したり、進捗を追いかけたりする必要が生じ、想定以上に時間と手間を取られてしまいます。「外注したはずなのに、かえって負担が増えた」と感じる背景には、この受け入れ体制の不備があることも少なくありません。特に、初めて外部人材を活用する企業ほど注意が必要なポイントといえるでしょう。

「任せっぱなし」にしてしまう

外部人材は、社内の状況や意思決定の背景を十分に把握できる立場にありません。そのため、定期的な共有やすり合わせがないまま仕事を任せてしまうと、意図とは異なる方向で作業が進んでしまうことがあります。結果として、完成した成果物が「思っていたものと違う」という事態になりがちです。

「専門家に任せたのだから大丈夫だろう」と距離を置いてしまうと、協働はうまく機能しません。外部人材であっても、適切な情報提供やフィードバックがあってこそ力を発揮できます。

これまで挙げてきた失敗例に共通しているのは、外部人材を“万能な存在”のように捉えてしまっている点です。依頼すればすべて解決する、丸投げすれば自動的に進む、そうした期待は現実的ではありません。外部人材は、あくまで社内メンバーと同じ目線で事業に向き合う「パートナー」です。その前提を持つことが、外部人材活用を成功させる第一歩となります。

外部人材の力を「自社の力」に変えるために必要なこと

では、外部人材との協働を本当に成果につなげるためには、何が必要なのでしょうか。ポイントはいくつかありますが、まず欠かせないのが契約前の準備です。

業務範囲はどこまでか、週にどれくらい稼働してもらえるのか、成果物はどのような形で納品されるのか、そして納期はいつか。こうした基本的な事項は、最低限、事前に明確にしておく必要があります。あらかじめ認識をすり合わせておくことで、「そこまでやってもらえると思っていなかった」「それは想定外だった」といった期待値のズレを防ぐことができます。特に副業人材の場合、本業の繁忙期には稼働が制限される可能性もあるため、そうした前提条件も含めて話し合っておくことが重要です。

次に重要になるのが、コミュニケーションの設計です。たとえば、週に1回の定例ミーティングを設ける、成果物に対するフィードバックは何営業日以内に返す、といったルールを決めておくだけでも、進行は格段にスムーズになります。連絡手段についても、メールなのかチャットツールなのかを最初に決めておくことで、無用な行き違いを避けられます。

あわせて、社内の意思決定プロセスを外部人材に共有しておくことも大切です。どの判断を誰が行うのか、承認にはどれくらいの時間がかかるのかを伝えておけば、外部人材は先を見越して動くことができます。結果として、手戻りや待ち時間が減り、全体の生産性が高まります。

さらに見落とされがちなのが、社内の巻き込み方です。外部人材を「外注先」や「よそから来た人」として扱うのではなく、プロジェクトに関わる一員として迎え入れる姿勢が重要です。必要な情報を適切に共有し、困ったときには相談しやすい雰囲気をつくることで、外部人材はより主体的に関与しやすくなります。その積み重ねが、成果の質にも表れてきます。

最後に、長期的な視点を持つことも欠かせません。協働を一度きりで終わらせるのではなく、最初のプロジェクトを通じてお互いの進め方や価値観を理解し、関係を育てていく意識を持つことが大切です。そうした関係性が築かれれば、次の取り組みでは立ち上がりが早くなり、より深いレベルでの協働が可能になります。

このようにして関係構築を進めていくことで、外部人材は単なる「外注先」ではなく、自社の事業を理解し、ともに前に進むパートナーへと変わっていくのです。

単なるコスト削減策ではなく、事業成長のパートナーになる

外部人材と協働することで、組織には新しい視点や知見が自然と入り込んできます。社内にいるだけでは見えにくい課題に気づかされたり、これまでの前提を覆す発想に出会えたり、他社で培われた成功事例を知ることができたりするでしょう。そうした刺激は、個々のプロジェクトにとどまらず、組織全体の視野を広げ、成長を後押しする力になります。

このように考えると、外部人材の活用は単なるコスト削減の手段ではありません。必要な専門性を取り入れ、事業の選択肢や可能性を広げるための、戦略的な判断といえます。確かに、準備やコミュニケーションには一定の手間がかかります。しかし、その先には、社内のリソースだけでは到達できなかった成果や、新たな展開が待っているはずです。外部人材を「一時的な助っ人」ではなく、事業成長をともに目指すパートナーとして捉えることが、これからの企業にとって重要になっていくでしょう。

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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