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まほろばブログ
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経営・マーケティングの基礎知識 |
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2026.01.21|経営・マーケティング
現在のビジネスの現場では、「何を言うか」だけでなく「誰が発信するか」が、これまで以上に重視されるようになっています。たとえば、企業の公式Xアカウントと、経営者が個人名で運用するアカウントを比べると、後者の方が反応が集まりやすく、エンゲージメントも高くなることが少なくありません。これは単なる偶然ではなく、発信の主体が明確であることが、受け手の共感や信頼につながっているためです。
私たち自身が日々情報に触れる生活者の立場で考えてみても、企業の公式アカウントの投稿より、実名で発信している個人の言葉のほうが、自然と目に留まり、読んでみたいと感じることが多いのではないでしょうか。たとえ内容が同じであっても、会社名義の発信と、経営者個人としての発信とでは、受け手に伝わる印象や信頼感は大きく異なります。
本記事では、なぜ今、経営者自身が発信することに意味があるのか、そしてそれをどのように実践していけばよいのかについて、順を追って解説していきます。
目次
企業やサービスが広報の一環としてSNSの公式アカウントを運用することは、いまやごく一般的になりました。しかし、その「当たり前さ」が広がった結果、発信内容は似通い、他社との差を打ち出すことが難しくなっています。多くの情報が流れる中で、公式アカウントの投稿は埋もれやすく、人の記憶に残りにくいのが実情です。
実際、「内容はきちんとしているものの、どこか無難で、心に残らない」と感じた経験を持つ人も少なくないでしょう。形式が整っている分、発信する人の顔や思いが見えにくく、読み手との距離が生まれてしまうこともあります。こうした背景から、今あらためて、経営者自身の言葉で発信することの価値が見直されているのです。
もっとも、すべての公式アカウントが反応を得られていないわけではありません。頻繁に話題を呼び、多くの人から親しまれている公式アカウントが存在するのも事実です。では、その違いはどこにあるのでしょうか。
多くの場合、評価されている公式アカウントには、投稿の向こう側に「人」が感じられます。担当者の視点や感情がにじみ出ており、企業名義でありながらも人間味や親近感を覚える発信になっているのです。つまり、反応を集めているのは、単なる公式情報ではなく、「誰かの言葉」として受け取れる投稿だと言えるでしょう。
情報があふれる現代では、人々は無意識のうちに「この言葉は、誰が発しているのか」を見極めながら情報を受け取っています。整いすぎた堅い表現や、どこか距離を感じさせる言葉よりも、多少の未完成さがあっても、人柄や温度が伝わる表現のほうが、共感を生みやすく、記憶にも残りやすいのです。
採用の場面を思い浮かべてみてください。求職者は、求人票に並んだ条件だけを見て応募を決めているわけではありません。「この会社でどんな仕事ができるか」という視点に加えて、「この人のもとで働きたい」「このような雰囲気のチームで働いてみたい」と感じられるかどうかが、重要な判断材料になります。そうした感情が動いたときにこそ、人は本気で応募を検討し始めるのです。
購入の場面でも状況は同じです。消費者は、商品やサービスの機能や価格だけを基準に選んでいるわけではありません。「この会社の考え方に共感できる」「姿勢に納得できる」と感じたとき、購入を決断するケースは年々増えています。さらにブランディングの観点でも、経営者自身が自らの言葉で創業の背景や想いを語ることで、受け手は企業を単なる提供者としてではなく、「応援したい存在」として捉えるようになるのです。
つまり、採用、営業、ブランディングといったあらゆる場面において、「誰が語っているのか」が成果を左右する時代になっています。そして、その「誰」として最も大きな影響力を持つ存在こそが、経営者自身なのです。
経営者が自らの言葉で発信することで、主に3つの効果が生まれます。
一つ目は、人間味が伝わることで共感が生まれ、ファンにつながっていく点です。人が本当に惹かれるのは、完成された理想的な経営者像ではなく、迷いながらも試行錯誤を重ね、前に進んでいる「一人の人間としての姿」です。たとえば、「その日の会食や商談で得た学び」「創業期に経験した失敗」「家族との何気ない会話から気づいたこと」といった話題は、企業の公式発表ではまず語られません。だからこそ、こうした個人的な視点の発信が共感を呼び、少しずつファンを生んでいくのです。
二つ目は、社内外からの信頼を高められることです。経営者の発する言葉は、そのまま会社の価値観として受け取られます。社会課題にどう向き合っているのか、顧客をどのように考えているのか、社員をどれほど大切にしているのか。こうした姿勢を、経営者自身が自分の言葉で継続的に発信していくことで、「この会社は、この価値観を本気で大切にしている」という認識が、自然と周囲に広がっていきます。その結果、Webサイトに掲げられたミッションやビジョンも、単なる理念ではなく、実感を伴ったものとして浸透していくのです。
三つ目は、採用力の向上です。求職者が本当に知りたいのは、給与や福利厚生といった条件面だけではありません。「誰と働くのか」「どのような経営者のもとで働くのか」という点は、応募を決めるうえで非常に大きな要素になります。経営者が日頃から発信を続けていれば、求職者はその考え方や人柄を理解したうえで応募してきます。そのため、「この人の価値観に共感した」という明確な動機を持つ人材が集まりやすくなり、結果として採用のミスマッチが減り、入社後の定着率向上にもつながります。大企業のような知名度や待遇で勝負できない中小企業にとっても、経営者自身の魅力で人材を惹きつけられる点は、大きな強みと言えるでしょう。
「発信」と聞くと、まずSNSを思い浮かべる方が多いかもしれません。確かにSNSは、手軽で拡散力もあり、経営者の考えを伝えるうえで非常に有効な手段です。しかし、発信の場はそれだけに限られるものではありません。
社外に向けた発信の代表的な手段として、まず挙げられるのがSNSです。XやFacebook、LinkedInなどで継続的に投稿することで、潜在的な顧客や求職者との接点をつくることができます。一方で、発信の場はSNSだけに限られません。業界メディアへの寄稿、自社ブログでの情報発信、セミナーや勉強会への登壇など、選択肢は多岐にわたります。
それぞれの媒体や場によって、伝えられる内容や届く相手、期待できる効果は異なります。そのため、「誰に向けて」「何を伝えたいのか」を明確にしたうえで、最適な発信の場を選ぶことが重要です。
そして見落とされがちですが、実は最も重要な発信先は「社内」です。社員は、会社にとって最も重要なステークホルダーと言えます。全社ミーティングでの話、社内報や社内チャットでの日常的なメッセージ、さらには1on1での対話まで、これらすべてが経営者にとっての発信の場です。
社内に向けて継続的に考えや背景を伝えていくことで、社員の理解と共感が深まり、エンゲージメントが高まっていきます。その積み重ねが、組織としての一体感を生み出します。社員が経営者の考えを自分ごととして受け止めているからこそ、その姿勢は自然と顧客やパートナーにも伝わり、結果として企業全体への信頼につながっていくのです。
「発信の重要性は理解できたものの、何から手をつければよいのかわからない」と感じている方も少なくないでしょう。ここでは、経営者が無理なく発信を始め、継続していくための進め方を、4つのステップに分けて紹介します。
まずは、自分が無理なく語れるテーマを決めることから始めましょう。事業に関する考え、組織づくりへの想い、あるいは個人としての価値観や日常の気づきなど、いくつかの要素をバランスよく意識すると、発信の幅が広がります。すべてを網羅しようとする必要はありません。自分自身が「話したい」「書きたい」と感じるテーマを選ぶことで、発信は負担ではなく、自然に続けられるものになっていきます。
最初から完成度の高い文章を届けようとすると、どうしても発信のハードルは高くなります。まずは、一言のコメントや日々の中でのちょっとした気づきを外に出してみることから始めてみてください。発信は、量や頻度よりも継続が重要です。
いきなりSNSで毎日投稿しようとすると、負担が大きくなり、続かなくなるケースも少なくありません。週に一度の社内チャットでのメッセージや、月に一度のブログ更新など、無理のないペースから始めるのも一つの方法です。
発信で最も大切なのは、頻度の多さではなく継続です。毎日投稿して短期間で息切れしてしまうよりも、週に一度でも一年間続けるほうが、長い目で見ればはるかに大きな価値を生みます。
完璧を目指す必要はありません。多少の誤字や拙さがあっても、それは人間味として受け取られます。むしろ、整いすぎていない言葉のほうが、気持ちが伝わることも多いものです。発信は、いわば種まきのようなものです。すぐに結果が見えなくても、続けていくうちに、少しずつ届く範囲が広がっていきます。
最後に重要なのは、社内での姿勢と社外での発信に一貫性を持たせることです。採用の場面で「誰が語っているのか」が重視されるのも、営業の現場で経営者の人となりが信頼につながるのも、その言葉に実態が伴っているからにほかなりません。
日頃から社内に対して自分の考えや判断の背景を丁寧に伝え、社員が「確かに、この人はいつもそう言っている」と感じられる状態をつくることが大切です。そうして積み重ねられた発信は、表面的なメッセージではなく、本物の言葉として社外にも自然に伝わっていきます。
経営者自身の発信は、もはや付加的な取り組みではなく、明確な経営戦略の一つです。「何を言うか」以上に「誰が言うか」が重視される時代において、経営者の言葉ほど強いメッセージはありません。社内外に向けて多面的に発信を重ねることで、企業への信頼が積み上がり、共感する人や応援してくれるファンが育っていきます。
そして何より重要なのは、完璧を目指さないことです。取り繕った言葉ではなく、自分自身の考えや経験を、自分らしい言葉で伝え続ける。その積み重ねこそが、経営者の発信を、企業の未来を支える力へと変えていくのです。

AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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