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2025.05.23|その他
弁護士および弁護士法人による業務広告は、かつて厳しく制限されていましたが、社会の情報化と依頼者の選択権尊重の流れの中で、2000年に日本弁護士連合会が「弁護士等の業務広告に関する規程」を定め、一定の条件下で広告が可能となりました。
この規程は、ホームページやSNS、リスティング広告を含むあらゆる広告媒体を対象とし、広告内容の真実性・誠実性を求めるとともに、依頼者の誤解を招く表現を禁じるなどの基準を設けています。
本記事では、日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」の内容を中心に、弁護士の広告規制ついて事例を交えて解説します。
目次
弁護士が広告規制を理解することは、依頼者に対して誠実で正確な情報を提供し、誤解や不利益を招かないために重要です。適切な広告は、依頼者が弁護士の業務内容や費用を正しく理解し、納得して依頼できる環境を整える役割を果たします。また、弁護士の品位と職業倫理を守り、法曹全体の信頼性や社会的信用を維持することにもつながります。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第2条では、広告とは「弁護士又は弁護士法人が、口頭、書面、電磁的方法その他の方法により自己又は自己の業務を他人に知らせるために行う情報の伝達及び表示行為であって、顧客又は依頼者となるように誘引することを主たる目的とするもの」と定義されています。
つまり、ホームページやSNS、リスティング広告、パンフレット、メールマガジン、看板、テレビCMなど、依頼者獲得を目的としたあらゆる情報発信が「広告」に該当します。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第3条では、弁護士・弁護士法人は以下の広告をすることができないとされています。
事実と異なる内容を含む虚偽広告は禁止されています。
例えば、「年間1,000件の勝訴実績」と記載しながら、実際は100件しかなければ虚偽に当たります。事実の誇張も虚偽とみなされる場合があります。依頼者が誤った判断をする原因となるため、弁護士の信用や業界の健全性を損なう行為として厳しく禁止されています。
事実に基づいていても、表現があいまいで依頼者に誤解を与える広告は禁止されています。
例えば、「日本トップクラスの離婚弁護士」と記載しても、客観的根拠が示されていない場合は誤解を招く表現となります。依頼者が内容を正しく理解できる、明確で客観的な表示が求められます。
依頼者の判断を不当に誘導し、過度な期待を抱かせるような表現は禁止されています。
例えば、「慰謝料500万円以上獲得保証」「スピード解決率100%」といった表現は、例外や事案の難易度を無視しており、依頼者に不当に高い期待を抱かせるためふさわしくありません。弁護士の職務は結果を保証するものではなく、不確実性を踏まえた、節度ある表現が求められます。
依頼者の心理的不安を過剰に刺激し、早急な相談を迫るなど、冷静な判断を妨げる表現は禁止されています。
例えば、「このままではあなたも逮捕されるかも!」「放置すると財産を全て失う可能性あり」など、危機感を過度に強調して相談を急がせる表現は、倫理的に問題です。弁護士は問題を冷静に分析し、適切な助言を行う職務であり、広告においてもその姿勢を反映した、安心感を重視した内容が求められます。
特定の弁護士や法律事務所と比較して、自らを優れていると主張する広告は禁止されています。
例えば、「○○法律事務所より勝率が高い」「○○法律事務所より迅速で確実」といった表現は、根拠の曖昧な比較であり、公正な競争を妨げ、他の弁護士や法律事務所の信用を損ねる可能性があるため認められません。広告はあくまで自己の情報を伝えることに留め、他者を引き合いに出す形の優位性アピールは避けるべきです。
弁護士法や日弁連・各弁護士会が定める規則に違反する広告は当然ながら禁止されています。
例えば、非弁提携をほのめかすような表現や、紹介料の授受を示唆するような内容は弁護士法違反するため認められません。弁護士の広告は法に則り、社会的責任と倫理を反映したものでなければならず、規範に反する内容は厳しく取り締まられます。
弁護士の社会的信用や職業倫理に反するような広告は禁止されています。
例えば、「絶対勝てる!金を取り戻せ!」といった煽動的な表現、あるいは不謹慎なユーモアや、過度に派手な演出を含む広告などは、弁護士に求められる冷静・中立な姿勢と相容れず、品位を損なうと評価されます。弁護士は公共性の高い職業であり、広告にも節度と誠実さが求められます。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第4条では、弁護士・弁護士法人は 原則として以下の事項を表示した広告をすることができないとされています。
訴訟の勝訴率の表示は禁止されています。
例えば、「勝訴率95%」と広告したとしても、その中には相手方の請求を一部認めた「部分勝訴」や、裁判前に成立した「和解」も含まれている可能性があります。こうした曖昧な数字は、依頼者に過度な期待や誤った判断を促し、弁護士の品位を損なうため、表示が禁止されています。
顧問先や依頼者の名前や企業名を広告に表示することは禁止されています。(顧問先または依頼者の書面による同意がある場合を除く)
例えば、「芸能人○○の顧問弁護士です」「上場企業○○社の法務顧問です」といった記載は、顧客の同意があっても控えるべきとされています。弁護士には守秘義務があり、顧客情報を営業目的で用いることは、倫理的にも問題があり、信頼性を損ねかねません。
現在進行中の事件について広告で言及することは禁止されています。(依頼者の書面による同意がある場合および依頼者が特定されず、かつ、依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く)
例えば、「現在、世間を騒がせている○○事件の弁護を担当しています」「現在、○○殺人事件の弁護を担当しています」といった表示は、裁判の公正を妨げたり、依頼者の不利益になる可能性があります。また、マスコミなどの報道に便乗して自身の活動を誇示するような広告は、弁護士の職務倫理に反し、業務の公共性を損なう行為とされます。弁護士には事件の当事者や社会全体に配慮した慎重な言動が求められ、広告でもその姿勢が必要とされます。
過去に扱った事件であっても、事件名や内容を広告に掲載することは禁止されています。(依頼者の書面による同意がある場合および広く一般に知られている事件または依頼者が特定されない場合で、かつ、依頼者の利益を損なうおそれがない場合を除く)
例えば、「○年の○○殺人事件の弁護を担当しました」「○○放火事件の主任弁護人を務めました」といった記載は、公的記録に残っていたとしても、事件関係者のプライバシーや感情への配慮、また社会的な影響を十分に考慮する必要があります。弁護士としての品位を保つ上で、実績アピールよりも守秘義務の尊重が重視されます。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第5条および第6条では、弁護士・弁護士法人は原則として面識のない者に対して以下の広告をしてはならないとされています。
こうした接触は、相手に心理的な圧力を与えたり、不意を突く形での勧誘となり、公正な依頼判断を妨げるおそれがあるため、弁護士の品位保持や依頼者保護の観点から禁止されています。
弁護士・弁護士法人は、依頼を得る目的で、面識のない者に対して、訪問または電話による広告をすることは禁止されています。(①法律事務の依頼を希望する者から請求があった場合、②刑事事件または少年事件について、本人以外の弁護人選任権または付添人選任権を有する者から請求があった場合、③公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合、はこの限りではない)
例えば、交通事故の被害者宅に弁護士が突然訪問して「弁護を引き受けます」と申し出る行為などが該当します。
弁護士・弁護士法人は、依頼を得る目的で、面識のない者に対して、その者の承諾を得ないで電子メールによる広告をすることは禁止されています。
例えば、「購入したリストを使った一斉メール送信」「オプトイン(同意)を得ていない相手へのメールマガジン配信」といった行為などが該当します。
弁護士・弁護士法人は、特定の事件の当事者および利害関係者で面識のない者に対して、郵便その他これらの者を名宛人として直接到達する方法で、その事件の依頼を勧誘する広告をしてはなりません。(公益上の必要があるとして所属弁護士会の承認を得た場合については、この限りでない)
例えば、「○○詐欺事件で被害に遭われた方、ご相談ください」と、被害者宅に直接DMを送付する行為などが該当します。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第7条では、弁護士・弁護士法人は、広告の対象者に対して社会的儀礼の範囲を超えた利益供与をして広告することを禁止しています。
例えば、「初回相談で商品券プレゼント」といった広告は、弁護士としての品位や業務の公共性に反するものであり、依頼者の判断を歪めかねないため、厳しく規制されています。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第8条では、弁護士・弁護士法人は、本規程に抵触する広告代理店などの第三者に対して、利益供与および協力することを禁止しています。
例えば、広告代理店が、誇大な実績や勝訴率をうたう違反広告を作成し、弁護士がそれを黙認・了承して掲載に協力した場合などが該当します。弁護士自らが直接広告を行わなくても、第三者の違反行為に関与すること自体が、弁護士の倫理や品位を損ねる行為とみなされます。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第9条では、弁護士・弁護士法人は、広告中に以下の事項を表示しなければならないとされています。
弁護士・弁護士法人が共同して広告をする場合は、その広告の代表者が弁護士であれば弁護士の、弁護士法人であれば弁護士法人の必要事項を表示することをもって足りるとされています。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第9条の2では、弁護士・弁護士法人は、依頼者と対面せず、電話・メール・オンライン会議などの通信手段のみで業務を受任する場合についての広告には、前条に規定する事項のほか、以下の事項を表示しなければならないとされています。
例えば、労働問題に詳しい弁護士が「全国対応、Zoom相談可、初回30分無料」と広告する場合、それが通信手段による受任であることを明確に記載する必要があります。これは、依頼者が事前にサービスの内容や条件を正確に把握できるようにすることで、誤認やトラブルを防ぐことを目的としています。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第10条では、弁護士・弁護士法人は、郵便等で面識のない者に対して直接配布する広告物については、封筒の外側または広告物の表側若しくは最初の部分に、広告であることを表示しなければならないとされています。
例えば、ダイレクトメールを郵送する場合は、封筒に「広告物在中」や文書冒頭に「この文書は弁護士の広告です」などと記載しなければなりません。これにより、受け取った人が内容を誤認せず、宣伝であることを前提に情報を判断できるようになります。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第11条では、広告をした弁護士・弁護士法人は、広告物(実物、複製、写真など)や広告方法(日時、場所、送付先など)、必要な同意書類をその広告が終了したときから3年間保存しなければなりません。
例えば、顧客の顔写真と推薦文を掲載したチラシを配布した場合は、そのチラシ、配布場所・日時の記録、さらに顧客の同意書をまとめて保存しておく必要があります。広告の保存義務は弁護士の倫理的な責任であると同時に、弁護士会による規程違反の確認を目的としたものでもあります。
日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」第12条では、弁護士会が所属する弁護士や弁護士法人の広告が規程に違反していると疑われる場合、広告物やその記録の提出を求め、調査を行えると定められています。また、弁護士等はその調査に協力する義務があります。
違反が認められた場合は、弁護士会は広告の中止命令や再発防止措置を命じ、必要に応じて命令内容等を公表することもあります。他会への通報や連携も可能で、日本弁護士連合会と各弁護士会は相互協力して対応します。
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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