制作費 | 49,800円 | (税込54,780円) |
---|---|---|
維持管理費 | 月額3,980円 | (税込4,378円) |
まほろばブログ
BLOG
士業専門のホームページ制作会社 |
BLOG |
2007.08.08|その他
「士業(しぎょう・さむらいぎょう)」とは、特定の国家資格を有し、専門的知識と技能をもとに、法律・法務・税務・会計・労務などの分野で業務を行う専門職の総称です。(医師、薬剤師など「師」の字を持つ職業を含める場合は、「士師業(師士業、ししぎょう)」と呼ばれます。)
日本においては古くから、知識や教養を重視する職業として社会的信用や地位が高く評価され、現代においても、企業経営者や個人の生活を支えるうえで、欠かすことのできない存在となっています。
士業の分類にはいくつかの考え方がありますが、代表的なものに「8士業」や「10士業」という括りがあります。これは制度的な分類というよりも、実務上や政策提言上で便宜的に使われている呼称です。
「8士業」とは、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士の8種の士業を指し、これに不動産鑑定士と土地家屋調査士を加えたものが「10士業」とされます。いずれも国家資格であり、法律に定められた範囲で独占業務や名称独占が認められています。
この記事では、10士業の主な業務内容を紹介し、その専門性と社会的役割について解説します。
法曹三者の一角である弁護士は、法的な専門知識をもとに、依頼者の権利と利益を守る役割を担う国家資格です。
弁護士は、民事事件や刑事事件、家事事件など幅広い分野で依頼者を代理し、訴訟や交渉、契約書の作成などを行います。また、弁護士は法律相談を通じて問題の予防にも貢献します。他の士業と異なり、法律事務全般を取り扱うことができ、訴訟代理人として裁判所での活動も行います。司法書士も簡易裁判所における一定の民事事件(訴額140万円以下)については代理権がありますが、弁護士は訴額や裁判所の種類を問わず、すべての事件において代理人となることが可能です。
弁護士になるには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格したうえで司法試験に合格し、司法修習を経て登録する必要があります。(日本弁護士連合会(日弁連)に所属し、厳格な倫理規定のもとで活動しています。)
弁護士は、個人・企業・社会のあらゆる法的ニーズに対応し、法の適正な運用と社会秩序の維持に不可欠な役割を担っています。
弁理士は、特許や商標、意匠などの知的財産に関する専門家であり、産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)の取得や保護、活用を支援する国家資格です。
主な業務は、特許庁への出願手続きの代理、出願書類の作成、拒絶理由通知への対応、審判や異議申立てなどです。また、企業や個人のアイデアやブランドを知的財産権として保護するための相談・助言も行い、技術やデザインの権利化戦略の立案にも関与します。訴訟においては、知的財産に関する一部の訴訟について弁護士と共同で代理人となることが認められています。
弁理士になるには、弁理士試験に合格し、必要な実務修習を経て登録する必要があります。(技術と法律の両方に精通することが求められ、特に理工系出身者が多い資格でもあります。)
弁理士は、知的財産が重要視される現代において、企業の競争力を支える重要な存在となっています。
司法書士は、登記や裁判手続きなど法律に関する業務を行う国家資格です。
不動産の売買や相続に伴う不動産登記、会社設立や役員変更に関する商業登記などを代理して行うことができ、これらの分野で広く活躍しています。また、簡易裁判所における民事訴訟(訴額が140万円以下)については、一定の研修と認定を受けることで、訴訟代理人として活動することも可能です。これにより、少額の金銭トラブルや家賃滞納、貸金請求などについて依頼者の代理人として裁判所に出廷することができます。ただし、訴額が140万円を超える場合や、地方・高等裁判所での事件は弁護士の専権業務です。
司法書士になるには、司法書士試験に合格し、必要な実務修習を経て登録する必要があります。(司法試験合格者や司法修習修了者など、一定の法律実務経験や資格を有する者は、「法務大臣の認定を受ける」方法で司法書士登録が認められます。)
司法書士は、法的トラブルを未然に防ぐための相談にも応じるほか、成年後見制度の申立てや遺言書の作成支援、家族信託に関する業務など、高齢社会に対応した法的サービスも提供しており、専門知識と実務経験を活かして、個人や企業の法務手続きを円滑に進める役割を果たしています。
行政書士は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成し、依頼者に代わって提出や手続きを行う国家資格者です。
主な業務としては、会社設立、許認可申請、外国人の在留資格や帰化申請、相続や遺言に関する書類作成、契約書や内容証明の作成などがあり、多岐にわたる分野で市民や企業の手続きをサポートしています。法律に関する専門知識をもとに、依頼者が正確かつ円滑に手続きを進められるよう支援するのが行政書士の役割です。裁判や登記といった業務は行いませんが、日常的に発生する法務手続きの「街の法律家」として、身近な相談相手となっています。
行政書士になるには、行政書士試験合格後に登録することが最も一般的で、試験科目は憲法、民法、行政法、商法・会社法、基礎法学など法律全般にわたります。(一部の司法書士や弁護士、一定の公務員経験者などは試験の一部科目免除や登録が認められる場合もあります)。
行政手続きの複雑化が進む現代において、行政書士の役割はますます重要になっており、地域社会や企業活動を円滑にする存在として幅広く活躍しています。
公認会計士は、企業や団体の財務情報が正確かつ適正に作成されているかを監査し、利害関係者に対してその信頼性を保証する国家資格者です。
主な業務は「監査証明業務」で、会社法や金融商品取引法等に基づき、上場企業などの財務諸表が会計基準に沿っているかを第三者の立場から検証します。これにより、投資家や取引先、金融機関などが安心して経済活動を行える環境を支えています。監査以外にも、経営コンサルティング、M&A支援、株式公開(IPO)支援、企業再生、内部統制構築など幅広い分野で活躍します。高度な会計・財務・法務知識を持ち、独立開業や監査法人・会計事務所勤務、企業内会計専門職など多様なキャリアパスがあります。
公認会計士になるには、公認会計士試験の合格後、実務経験と修了考査を経て登録する必要があります。
公認会計士は、経済社会の健全な発展と市場の透明性確保に不可欠な専門家です。
税理士は、税務に関する専門的な知識と技能をもって、納税者の代理や相談に応じる国家資格者です。
主な業務は、税務代理(税務署への申告・申請・不服申立て等の代理)、税務書類の作成(確定申告書や法人税申告書などの作成)、税務相談(税金計算や節税対策などの助言)であり、税理士法によって独占業務として定められています。個人の所得税や相続税、法人の法人税や消費税など、多様な税目に対応し、依頼者が適正かつ有利に税務を行えるようサポートします。また、会計業務や経営相談にも関わることが多く、財務諸表の作成や経営計画の策定支援などを通じて、企業の経営基盤強化にも寄与します。
税理士になるには、原則として税理士試験に合格し、2年以上の実務経験を経て登録する必要があります。(公認会計士や弁護士の資格保有者、国税出身者等には試験科目や受験要件の免除制度があります。)
税理士は、税務の専門家として公正中立な立場を保ちつつ、依頼者の経済活動を支える重要な役割を担っています。
社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する手続きや人事労務管理の専門家であり、労働者と使用者の双方が適切な環境で働けるよう支援する国家資格者です。
主な業務は、労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険などの加入や給付申請、各種届出書類の作成・提出の代行(社会保険手続きの独占業務)、就業規則や賃金規程などの作成・改定、人事制度設計、労務相談などです。また、労働基準監督署や年金事務所など行政機関への手続きを通じ、法令遵守と職場環境の改善をサポートします。さらに、特別研修を受講し、紛争解決手続代理業務試験に合格した特定社会保険労務士は、労働紛争の未然防止や解決のために、個別労働関係紛争のあっせん代理を行うことも可能です。
社会保険労務士になるには、原則として社会保険労務士試験に合格し、2年以上の実務経験または事務指定講習を経て登録する必要があります。
社会保険労務士は、企業の労務管理の要として、法的知識と実務スキルを活かし、健全な雇用環境の維持・発展に貢献する重要な専門職です。
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を分析し、改善策や成長戦略を提案する経営コンサルタントの国家資格者です。
経営・財務・人事・生産・販売など幅広い分野の知識を活用し、企業の現状を診断して課題を明確化し、具体的な改善計画を立案・実行支援します。業務範囲は、経営戦略の策定、新規事業の立ち上げ支援、補助金申請・資金調達計画、事業承継、販路拡大、組織改革、生産性向上など多岐にわたります。特に中小企業庁や自治体、商工会議所が行う経営支援事業において重要な役割を果たし、企業と行政・金融機関の橋渡し役にもなります。
中小企業診断士になるには、中小企業診断士試験(一次試験・二次試験)に合格し、実務補習または実務経験を経て登録する必要があります。試験は経営全般に関する総合力が問われ、法律・会計・IT・マーケティングなど幅広い知識が求められます。
中小企業診断士は、理論と実践の両面から企業の持続的成長を支える経営のパートナーとして、高い専門性と中立性が期待される資格です。
不動産鑑定士は、土地や建物など不動産の経済価値を専門的に評価する国家資格者です。
不動産の価格は、売買や賃貸、担保設定、相続、M&A、企業会計、訴訟など多くの場面で重要な指標となるため、公正かつ客観的な鑑定評価を行う必要があります。鑑定評価は、不動産鑑定評価基準に基づき、市場動向、周辺環境、権利関係、利用状況など多角的な要素を分析して算定します。業務範囲は、個人や企業の取引支援だけでなく、公共事業に伴う用地取得、地価公示や地価調査など国や自治体が行う価格評価にも及びます。
不動産鑑定士になるには、不動産鑑定士試験(短答式・論文式・口述式)に合格し、実務修習を経て登録することが必要です。試験では、不動産に関する法律、経済、会計、鑑定理論など幅広い知識が求められます。
不動産鑑定士は、市場の透明性確保と円滑な取引促進に貢献し、経済活動や地域開発の基盤を支える重要な専門職です。
土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記の専門家として、土地や建物の位置・形状・面積などを正確に測量し、その結果をもとに登記手続きを行う国家資格者です。
業務の中心は、不動産登記法に基づく「表示登記」であり、土地の分筆や合筆、地目変更、建物の新築や増改築に伴う表題登記・変更登記・滅失登記などを行います。これらは不動産の物理的状況を公的に証明する重要な手続きであり、所有権の保全や取引の安全性確保に直結します。土地家屋調査士は、測量技術と法律知識の両方を活かし、現地調査・測量から登記申請書類の作成、法務局への申請まで一貫して対応します。
土地家屋調査士になるには、法務局において実務を経験して法務大臣の認定を受けるか、土地家屋調査士試験に合格し登録することが必要です。(ほとんどは後者。測量士、測量士補、一級・二級建築士の資格を所有していれば、試験が一部が免除されます。)
土地家屋調査士は、不動産取引や相続、境界紛争の防止など、円滑な不動産利用の基盤を支える重要な専門職です。
このように、士業にはそれぞれに専門分野があり、企業や個人が直面する多様な課題に対して、法的・制度的に裏付けられた支援を提供しています。また、近年では単独の士業では対応が困難な案件も増加しており、他士業との連携によってワンストップサービスを提供する動きも活発化しています。デジタル化、国際化、人口減少、複雑化する法制度などの変化に対応しながら、士業は今後ますます社会に不可欠な存在として進化し続けることが求められています。士業とは単なる資格者ではなく、依頼者の信頼に応え、専門性と倫理観を持って社会に貢献するプロフェッショナルな存在なのです。
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
こちらの記事もどうぞ
カテゴリ