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ユーザー体験の核心をつかむUXライティングとは−Appleのデザイン戦略を文章へ

2023.06.08ライティング

『デザインとは、見た目や感触だけではありません。デザインとは、それがどのように機能するかです。』-スティーブ・ジョブス

スティーブ・ジョブスは、類稀な感性によって、洗練されたデザインと直感的に操作できるデバイスである、iPhoneを生み出しました。そしてスティーブ・ジョブスは、消費者目線で多くの言葉を残しています。そのうちの一つが、上記の言葉です。

デザインで重視するのは見た目だけではなく、ユーザーにとっての利便性や体験にも深く関わっていることを意味しています。

スティーブ・ジョブスの言葉は、決して商品の見た目や形だけの話ではありません。商品やサービスを利用する際に触れる、「文章」や「言葉」でも同じことです。文章をデザインと捉え、ユーザーの利便性や体験価値を向上させるのが、UXライティングなのです。

そこで今回は、商品やサービスで溢れた現代を生き抜くために必要な「UXライティング」について詳しく解説します。UXライティングを理解することで、貴社のブランディング強化やユーザーとのコミュニケーションを改善するヒントを得られるでしょう。

なぜiPhoneには戻るボタンがないのか−Appleの天才デザイナーから学ぶ「UXライティングの本質」とは

皆さんはiPhoneに「戻るボタン」がない理由をご存じでしょうか。 「戻るボタン」は今でも多くのAndroid端末に標準装備されているものであり、これは「戻るボタンがあれば、ユーザーは簡単にスマホを操作できる」という考え方から搭載されています。

しかしAppleは2007年の初代iPhoneの発表から、ブレることなく「戻るボタンをつけない」という姿勢を貫き続けています。この決断に至った背景には、iPhoneのデザインを提案したデザイナーの「ある言葉」がきっかけとなっています。

iPhoneの戻るボタンは「信頼性を損なう」

AppleのUIデザイナーであるイムラン・シャウドリ氏はiPhoneの開発当時、ジョブズに「iPhoneの戻るボタンは、信頼性を損なう」と強く主張しました。

そもそもiPhoneのホームボタンは「ホーム画面に戻る」というたったひとつの目的を果たすもので、ユーザーは疑いなく操作できます。しかし、ここに「戻る」ボタンを導入することで、操作の信頼性が損なわれ、操作が複雑になるとイムラン氏は主張したのです。

この主張に納得したジョブズは、初代iPhoneに「戻るボタンをつけない」という決断をしました。そしてシンプルなデザインのiPhoneは発表直後から大ヒットを記録し、UXに優れた製品として世界中で愛され続けています。

UXライティングの本質は「誤解なく体験・行動につなげられること」

このiPhoneの「戻るボタンをなくす」という決断は、ユーザーの混乱を取り除き、誤解なく行動につなげられるような顧客体験を作り出しました。そしてこのAppleの顧客体験の改善事例は、製品のデザインだけでなく、文章を書く際にも応用できます。それが「UXライティング」です。

UXライティングとは、商品・Webサービス・アプリなどを利用するユーザーの体験価値の向上をサポートするための文章のことです。

そもそもUXとは、User Experience(顧客体験)の略で、ユーザーがプロダクトやサービスを通して得られる体験を指します。体験とは、使いやすい・見やすい・入力しやすい・感動などのすべての体験のことです。

それらの体験を、文章によって促したり、体験そのものの価値を向上させたりするのがUXライティングです。認知拡大や興味関心を促す言葉ではなく、何かしらの体験・行動に移せるように「文章を添えている」という認識を持ってもらえると分かりやすいでしょう。

分かりやすい例の一つとして「信号」が考えられます。

信号は歩行者も自動車も共通で「青は進め、赤は止まれ」という意味です。信号の色を見ると、頭で考えなくとも行動に直結させられます。

UXライティングは、まさに信号のようなものです。なぜなら、一文を読んだだけで・見ただけで、ユーザーを希望の行動へと誘導させることを目的としたライティングだからです。

そして、実際にUXライティングは、以下のような場所で使われています。

・CTAボタン
・入力フォーム
・プッシュ通知
・説明書
・ログイン画面
・エラーメッセージなど

ここでは、一例を挙げましたが、ユーザーとの接点になるすべての文章がUXライティングの対象です。

カフェのコーヒーカップやユーザー登録の管理画面など、そこに文章が書いてあり、思わず行動してしまうのであれば、それもUXライティングに該当します。

UXライティングでやるべきこと・やってはいけないこと

UXライティングを考える際に重要なのは、ユーザー目線で、誰が読んでも誤解なく体験・行動につなげられることです。

一方、書き手のさまざまな意図を含んだ表現やキャッチコピーのような読み手を惹きつける表現は、UXライティングには向きません。

やるべきこととやってはいけないことをまとめたので、参考にしてみてください。

UXライティングでやるべきことは「とにかくシンプルに」

UXライティングでやるべきことは、「とにかくシンプルで明確な文章を作成すること」です。

なぜなら、UXライティングはユーザーの邪魔にならないように存在し、かつユーザーの体験価値の向上につなげる必要があるからです。

文章を一字一句読む人は稀であり、多くの人は画面や商品をパッと見て、流し見をします。

流し見でも理解できるような、シンプルな文章作成を心がけると、より良い体験価値の向上につながるでしょう。

UXライティングでやってはいけないことは「キャッチコピーを作ること」

UXライティングでやってはいけないのは、「キャッチコピーを作ること」です。

キャッチコピーは、読み手によって受け取り方が変わります。

また、新規ユーザーの獲得や認知拡大が目的であるキャッチコピーに対して、すでに利用しているユーザーに向けて書くのがUXライティングです。

そのため、書き方を間違えてしまうと、そもそもの目的が変わってしまいます。キャッチコピーのように、記憶に残るエモーショナルな文章は不要です。

UXライティングを活用した3つの事例

私たちは、普段の生活のなかで気づかないうちに企業のUXライティングに触れています。
ここでは、UXライティングの事例を3つ紹介するので、参考にしてみてください。

iPhoneのロック画面

「Touch IDまたはパスコードを入力」

iPhoneのロック画面に表示される、「Touch ID または パスコードを入力」という一文はUXライティングの一例です。

この文章を一字一句覚えている人は少ないと思いますが、一度行動すると、次からは文章がなくとも何をすべきか分かるのではないでしょうか。

しかし、初めてこの機能を使う場合、何も書かれていない状態で表示されたらどうでしょう?「何をしたらいいのだろうか?」と迷う可能性がありますし、Touch IDが使えることはきっと分かりません。

iPhoneを快適に使う上で欠かせないUXライティングです。

note

「下書きを保存しました。執筆がすすんだら軽く休憩してみましょう。」

noteの執筆画面を閉じると、上記のようなメッセージ付きの「閉じる」ボタンが表示されます。

このメッセージが無くても、noteの機能は問題なく使用できるでしょう。しかし、このメッセージがあることで、無事に保存できているという安心感につながります。また、note側から利用者への配慮が感じられる、コミュニケーションの場でもあると考えられます。

ユニクロのホームページ

「ユニクロアプリ、まずはこれ。最短1時間、アプリでオーダー、お店でピックアップができるんです。ユニクロにあるものぜんぶ、お取り寄せできるんです。」

株式会社ユニクロでは、アプリの特徴や利用方法について、UXライティングを活用して記載しています。アプリを導入することで何ができるのかを把握できるように、シンプルで簡潔な文章で作成されています。

UXライティングによって、より快適に買い物をするためにアプリをダウンロードしてみるという行動・体験へとつながるでしょう。

まとめ

UXライティングとは、商品・Webサービス・アプリなどを利用するユーザーの体験価値の向上をサポートするための文章のことです。

また、企業とユーザーとを結ぶコミュニケーションの一部という側面もあり、利用者への向き合い方という見方もできます。

UXライティングを適切に活用しユーザーの体験価値を向上させるには、ユーザーのことを十分に理解し、シンプルな言葉を設置するのが重要です。

「ユーザー満足度の更なる向上を実現したい」と考えているのであれば、UXライティングを導入してみてはいかがでしょうか。

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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