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アンパンマンに学ぶ、AIライティングと人が書く文章の違い

2024.02.15ライティング

『強いからヒーローなんじゃない。喜ばせるからヒーローなんだ。』

この言葉は、アンパンマンの作者である、やなせたかしさんの言葉です。子どもたちのヒーローであるアンパンマンは生みの親であるやなせさんにとって「強くない、世界最弱のヒーロー」なのです。

やなせさんは、第二次世界大戦中に中国に遠征し、そこでは正義の戦いだと信じて戦っていたそうです。しかし日本が敗戦し、帰国してから正義の在り方を考えるようになりました。市民は住む場所や食べるものに困り大変な思いをしている状況を見て、戦争そのものが悪ではないかと感じたのです。このような背景から「飢えて困っている人に食べ物を差し出すこと」こそが正義と考えました。つまり、世間一般で言われる思想としての正義ではなく、やなせさん自身の心の奥底から出てきた正義といえます。そして、たとえ自分が弱っても困っている人を助けるアンパンマンというキャラクターが誕生し、多くの子どもたちに勇気をあたえているのです。

第二次世界大戦を終え、今年で79年目になります。1955年には高度経済成長期を迎え、高層ビルもたくさん建設されました。「ものづくり大国日本」を掲げた日本の対米貿易収支は1980年代に黒字へと転じました。アンパンマンが誕生したのは1988年、ちょうどこの頃です。2000年以降は人々の経済活動は徐々にオンラインへとシフトし、今ではChatGPTをはじめとする生成AIが話題になっています。日本は、バブル崩壊や数々の震災を乗り越え、何度でも立ち上がってきました。

時代が移り変わり、見える景色や話す言葉が変わっても、ずっと色褪せず、変わらないものがあります。それは「人の想い」です。今回の記事では、「文字を書く」という少し変わった視点から、人の想いやAIライティングの今後について考察していきます。

AIが出力する文章は「計算結果」

2023年に入り急激に広がったChatGPT。「ライティングはAIに取って代わられる」と多くの人が話していたのを覚えています。実際にChatGPTを活用してブログを書いたり、AIツールでの記事作成方法をレクチャーしたりする人も出てきました。

あれから1年。今では当時ほどの盛り上がりはないものの、AI技術は着実に進歩しています。実際に、ChatGPTに指示だけして数分待つと記事が出来上がります。記事作成にかかる工数は、人類が誕生してから最も少なくなったのではないでしょうか。
しかし、記事作成をAIに完全に任せることはできません。そして、AIが作ったものを私自身は興味を持って読んでみたいとまでは思いません。なぜなら、AIの作る文章は、現在ネット上にある言葉を切り貼りしただけで、そこに想いや感情は宿っていないからです。

生成AIの大多数は、大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)と呼ばれる膨大なデータを収集し、文章中のキーワードの関係を推論するという方法で文章を生成します。「“A”という単語が生成されたら、次は“B”という単語が続く可能性が高い」といった推論を繰り返し、違和感のない文章をつくりあげていきます。

しかし、そのように生成された文章はいわば「計算結果」であり、想いを伝える手段としての「文章」とは意味合いが違います。AIは、人間のように文章の意味を理解し、読み書きしているわけではないのです。

やなせたかしさんは自ら戦争を体験し、「正義」という言葉に悩み、日々葛藤していました。苦しく、悲しい経験をしたからこそ、アンパンマンというキャラクターが生まれました。

どれだけAI技術が発展したとしても、AIが出力するのは「計算結果」です。方向性を決めるのも、意思決定するのも、伝える内容に想いをこめるのも“人”であるのは、この先も変わらないのではないでしょうか。

人間は間違える。だから面白い

2024年1月17日に発表された第170回芥川賞には、九段理江さんの「東京都同情塔」が選出されました

本作の舞台は、架空の未来の日本であり、犯罪者が快適に暮らすための高層タワー「シンパシータワートウキョウ」。タワーの建築を手がけた主人公が、仕事に対する信条と世間の風潮との乖離に葛藤しながらも未来を追求する姿が描かれています。純文学が選ばれる芥川賞のなかでも、エンターテイメント性が高く、読書初心者でも面白く読める作品に仕上がっているのが特徴です。

注目したいのは、主人公が辞書がわりに生成AIに質問を投げかける場面です。面白いことに、AIへの質問とAIからの返答の場面は、実際に生成AIに質問し返ってきた答えをそのまま載せているとのこと。作品全体の5%ほどを生成AIが生み出し、出力結果を“そのまま”作品に使用しているのです。

決して、AIが作った小説が芥川賞を受賞したわけではありません。あくまでも個人の感想ですが、九段さんが生み出した物語の構想と、それに対してAIがパズルのようにうまく当てはまり、未来を舞台とした話にリアリティが生まれたからだと考えています。

つまり、記事を作っているのは“人”です。

九段さんは、あるインタビューのなかで次のように語っています。

『人間には、人間にしかない独自の創造性がある。効率化を目指すAIであればエラーとして切り捨てるであろう“偶然”や“逸脱”を、人間は「面白い」と感じたり何かに組み込んでみたりする。それが人間にしかない創造性を生み出してくれる。』

人間の一番の強みは「間違えること」です。AIや計算機であれば決して間違えないことを、人間は“偶然”や“逸脱”によって間違えます。その「間違い」こそ、人間にしかない独自の創造性であり、面白みではないでしょうか。「AIに取って代わられる、取って代わられない」という二元論で議論するのは、あまり好きではありません。人間は間違える。だから面白いのです。

想いが宿るから、読みたいんだ

芥川賞の正賞に選ばれた人には、懐中時計が贈られるのをご存知でしょうか。副賞は賞金100万円。副賞のほうが高価な気はしますが、実はこれには芥川賞が誕生したときの時代背景が深く関係しています。

1935年に芥川賞を創設した文藝春秋初代社長の菊池寛は、当初、芥川賞で贈られるものを賞金だけと考えていました。しかし盟友の佐佐木茂索による「記念に残る品物を」との進言によって、正賞が当時は高級品だった銀の懐中時計になり、副賞として賞金が贈られることとなりました。これは言い換えるなら、芥川賞の正賞には菊池寛の「想い」と「経済的価値」を、副賞には「経済的価値」のみが贈られたと理解できるのではないでしょうか。

もちろん、現代では懐中時計を換金して生活の足しにする人はいません。しかし、菊池寛が懐中時計にこめた「想い」は、今でも受け継がれています。食べ物に溢れた今でも、アンパンマンというキャラクターを介してやなせたかしさんの想いは変わらず受け継がれているように、どれだけ文明が進歩しても、人の想いが絶えることはありません。

アンパンマンは強いからヒーローなのではありません。喜ばせるからヒーローなのです。

ライティングでも同じです。正しいから「読みたい」と思うのではありません。
人の想いが宿って、感情がこもって、心が震わされるから「読みたい」と思うのです。

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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