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日本の組織の背後にある「見えない圧力」の正体に迫る

経営・マネジメント

「超」入門 空気の研究

日本人の思考と行動を支配する27の見えない圧力

著者:鈴木 博毅
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2018年12月6日

著者について

鈴木博毅(すずきひろき)。ビジネス戦略コンサルタント。MPS Consulting代表。1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部、京都大学経営管理大学院(修士)卒業。大学卒業後、貿易商社にてカナダ・オーストラリアの資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略論や企業史を分析し、負ける組織と勝てる組織の違いを追究しながら、失敗の構造から新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。著書に『「超」入門 失敗の本質』『「超」入門 学問のすすめ』『戦略の教室』『戦略は歴史から学べ』『実践版 孫子の兵法』『実践版 三国志』『最強のリーダー育成書 君主論』『3000年の英知に学ぶリーダーの教科書』など。

本の概要

日本人は「空気を読む」

このように言われる背景には、長い歴史の中で培われた共同体意識や調和を重んじる精神性が影響している。息苦しさ、同調圧力、そして何より「空気」。これらは日常の組織でよく耳にする言葉や感覚だが、実はこれらの背後には、日本独特の深い歴史や文化が流れているのだ。

山本七平の名著『「空気」の研究』は、日本の組織文化の核心を浮き彫りにしている。
この名著に基づき、『失敗の本質』の著者・鈴木博毅(すずきひろき)が27のポイントで日本の組織を読み解き、日本の組織が持つ独自の振る舞いや概念の背後にあるメカニズムを明らかに解説する。

さらに、この書籍では日本の組織が抱える問題点を、過去の歴史的な出来事、例えば明治維新や太平洋戦争といった大きな転機と結びつけて分析している。そうした歴史的背景を理解することで、現代の組織の中で生じる様々な問題や矛盾、そしてその背後にある「見えない圧力」の正体に迫ることができるのだ。

読んだ感想

『空気が支配する場所では、あらゆる議論は最後には空気によって決定される』

この言葉は、一橋大学名誉教授である野中郁次郎氏の言葉です。野中氏は、経営学における知的創造理論の権威であり、「知識」を組織的に創造する方法論を長年研究してきました。そんな中、野中氏が特に熱量をもって研究に取り組んだのが「1990年代以降の日本企業の停滞」についてです。

1980年代、日本は円高の追い風と共に海外進出を進め、世界を席巻しました。世界銀行のデータによると、80年代の10年間でGDPは約1.8倍に、1993年には世界GDPの約18%も占めるほどに甚だしい成長を遂げました。経営学の文脈では、アメリカにて日本的経営が評価され、研究の対象となりました。まさに「日本経済の黄金期」といっても過言ではないでしょう。しかしながら1990年代以降、日本経済は急速に力を失っていきました。2021年において、世界のGDPに占める日本の割合はたった5%程度。日本経済はもう成長しない。そんなどんよりとした「空気」が、日本中を覆い尽くしているように感じます。

いったいなぜ、あれほど絶好調だった日本はここまで停滞の道を辿ってしまったのでしょうか。野中氏は、90年代以降の日本経済停滞の原因について①分析過多②計画過多③コンプライアンス過多の3つを挙げています。つまり、失敗を許さないという「空気」こそが、過剰な分析や計画、そして過剰なコンプライアンスを生み出し、ビジネスを硬直化させていると野中氏は語ります。 本書の基となる「空気の研究」には、『彼は、何やらわからぬ「前提」に、自らの意志決定を拘束されている。』という言葉が出てきます。つまり、「空気」とはつまりある種の「前提」であり、これが空気の正体でもあるのです。

野中氏の「空気が支配する場所では、あらゆる議論は最後には空気によって決定される。」という言葉は、「前提が支配する場所では、あらゆる議論は最後には前提によって決定される」と言い換えることができます。つまり、私たち日本人は「失敗は許されない」という前提に蝕まれ、支配されていると言えるのではないでしょうか。
私も1人の経営者として、この「前提」を覆す責任と役割があると感じます。本書には「空気の支配」から脱却するには、「集団に貢献する独自の正義」が必要であると綴られています。私なりの「独自の正義」とは弊社のミッション、すなわち『相談したいときに 相談すべき専門家に 相談できる社会へ』です。相談できる人が見つからないために、損をし、絶望する。そんな人を一人でも減らせるよう、いま私は仕事をしています。

私たち中小企業の経営者が目指すべきは、単なる利益追求の先にある、真の「価値」の追求だと思います。そして、それは前提を固定する「空気」の中でなく、自らの「正義」を持って進むことで得られるのではないでしょうか。前述したように、私たち日本の経営者が直面しているのは、失敗を許さないという「空気」の中でのビジネスです。しかし、真の革新や変化は、そうした空気を超えた場所でのみ生まれます。前提や既存の価値観に挑戦し、新しい風を吹き込むことが、私たちの真の使命であると信じています。

印象に残った言葉【本書から引用】

「空気」=ある種の前提(P.31)
不祥事や悲劇、大失敗が空気を起点に始まる最大の理由は、特定の集団が自分たちの前提に都合の悪い現実一切無視させて、隠した現実が含むリスクをその他の者たちに知らせないためである。(p.61)
世界の現実も言葉も相対的なのに、日本人はすぐに絶対化してしまう。日本人の思考にある軽率な絶対化が、頻繁に虚構や矛盾を生み出すのです。(p.124)
ところで、言葉の絶対化は、なぜ空気に結び付くのでしょうか。
最大の理由は、多くの言葉の中に実はすでに「前提」が隠されているからです。(p.134)
日本ではムラの外を知ることが、権力や富、支配力の源泉となる。(p.225)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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