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「貞観政要」のリーダー学
守成は創業より難し
著者:守屋 淳
出版社:プレジデント社
発売日:2005年11月30日
著者について
『書経』と並び、帝王学の原点とされてきた古典『貞観政要』。これは、唐朝の第二代皇帝 太宗李世民にまつわる話である。太宗は、中国4千年の長い歴史の中でも、屈指の名君として知られ、唐王朝の「二代目」として、平和で安定した社会を築くことに成功した。その治世を後世の人々は、太宗の年号を取って「貞観の治」と称えてきた。
『貞観政要』は、太宗が死去してから50年ほどたって、呉兢という史家によってまとめられた。題名は、「貞観の治」をもたらした政治の要諦といった意味であることは言うまでもない。その内容は、太宗と彼を支えた重臣たちとの間でかわされた政治問答を中心に編まれており、それらの問答を通して、彼らの覚悟と真摯な姿勢があまさず説き明かされている。
いつの時代でも、トップやリーダーは重い責任を背負っており、与えられた職責を果たしていくためには、それなりの覚悟が求められる。そういう立場の人にとって、今でも『貞観政要』から学ぶべきことは少なくない。本書は、著者の守屋氏が『貞観政要』の教えを現代語訳でわかりやすく解説したものである。「リーダー」と呼ばれる全ての方々にご一読いただきたい一冊だ。
“The quality of leadership, more than any other single factor, determines the success or failure of an organization”
(リーダーシップの質は、他のどの要素よりも組織の成否を左右する。)
この言葉は、オーストラリアの心理学者フレッド・フィードラー氏の言葉です。1960年代、フィードラー氏はリーダーシップの研究において「コンティンジェンシー理論」を提唱したことでよく知られています。コンティンジェンシー理論の要点は「どのような状況においても対応しうるリーダーは存在しない」という点にあります。裏を返せば、リーダーは状況の変化を機敏に察知し、経営環境に合わせてリーダーシップの形を変えていく必要があるのです。創業から守成の移行時、いつまでも成功体験にとらわれて守成への切り替えを怠ると、その組織はいずれ衰亡を免れません。「リーダーシップは、他のどの要素よりも組織の成否を左右する」ということを、太宗は誰よりも深く理解していたのだと私は感じます。
本書で語られている通り、創業から守成への移行期を乗り越えたリーダーとして前漢の初代皇帝 劉邦がいます。劉邦は名もない農民から反乱軍のリーダーにかつぎ出され、優れた戦略と馬術で天下を統一しました。しかし、馬上で天下を「統一する」ことはできても、馬上で天下を「統治する」ことはできません。天下統一を果たしたばかりの頃は「わしは馬上で天下を取った。今さら帝王学を習っても何の役にも立たない」と考えていた劉邦でしたが、進言役の陸賈の言葉によってその考え方を改めました。その後、帝王学を真剣に学んだ劉邦は、前後約400年続く漢王朝の礎を築いたのでした。
荀子曰く、「君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す」とあります。君主は舟で、民は水、浮くも沈むも水次第。民の意向に逆らった政治を行えば、君主の座がすぐに覆されてしまいます。創業時にうまくいったやり方でも、それが守成の期に通用するとは限りません。むしろ創業者は、守成の期においては自らを戒め、意識的にリーダーシップの形を変えていく必要があるのかもしれません。コンティンジェンシー理論の通り、どのような状況においても対応しうるリーダーは存在しないのですから。
創業時における自らの成功体験を捨て、守成に切り替えるのは決して簡単なことではありません。世代交代の際にも、二代目は一代目のやり方を真似するだけではうまくいかないでしょう。しかし、リーダーシップを変化させるタイミングを見逃すと、組織は固定化され、イノベーションを阻害し、次第に競争力を失っていきます。創業から守成への転換期には、多くの葛藤が生まれるかもしれませんが、リーダーが自らの役割を見直し、新たな道を切り開くことが、組織の持続的な成功の鍵となるでしょう。
最後に、フィードラーの理論は、リーダーに「絶え間ない自己改革」の必要性を教えています。変化が激しい現代のビジネス環境では、リーダーは常に未来を見据え、適応する力を持つことが重要であるのかもしれません。リーダーシップの質が、組織の未来を決定づけるのです。
君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す(P.37)
部下の諫言を引き出すためには、ふだんからなんでも自由に物が言えるように組織の風通しをよくしておくこと、そしてトップ自身が部下の意見に喜んで耳を傾ける懐の広い人間であることを示しておく必要がある。部下から見て、親しみの感じられるトップであれば、なおよいであろう。(P.91)
だが、この二つだけでは心許ない。最後の決め手として、第三は、行動である。今何をしているのか。さらにさかのぼって、今までどういうことをしてきたのか。そこまで調べて対応すれば、大きな見損じは生じないであろうというのだ。(P.158)
大国を治むるは、小鮮を烹るが若し(P.176)
訥弁でもいいから、必要なときに必要なことを筋道を立てて主張できる弁舌は、最低限度身につけておきたい。これもリーダーにとっては大事な条件なのである。(P.185)
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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