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勝負師の条件
同じ条件の中で、なぜあの人は卓越できるのか
著者:守屋 淳
出版社:日経BP 日本経済新聞出版
発売日:2023年3月 23日
著者について
「勝負事においては、ベストな判断はAIができる」というのは本当だろうか。確かに将棋やチェスのような「完全情報ゲーム」においては、お互いの手の内も、判断に必要な情報も全て盤の上に一目瞭然だ。カードゲームであれば、相手の手の内がわからないが、カードの数と種類が限られているので確率や統計での処理が可能だ。当然ながら、限定された情報を論理や確率、統計で扱えるようなジャンルは、AIの独壇場となる。
一方、ビジネスや人生では、何か重要な決断をするときに必要な情報が揃っていることなど滅多にない。しかも、情報が外部に開かれているため、環境やルール、構成要素、前提条件のチェンジが当たり前の世界だ。このような環境では、AIが論理や確率、統計ですべてを片付けることなど不可能だろう。
本書では、このような「誰しもが判断を間違えてしまう複雑極まりない競争状態」の中で、他人より優れた判断ができる人を「勝負師」と呼び、その有り様を探求していく。本書を読むことで、優れた勝負師の「条件」を学ぶことができるだろう。
『いろいろなことがあったし、新しいビジネス、新しい業界なので、新しく整理しなければいけないこともあったと思う。環境的にもいろいろなことが起きた。だが、もともと我々が登ろうとした山がそういう山だったということ』-松本大
2024年12月11日、暗号資産取引所コインチェックが米NASDAQへの上場手続きを完了しました。親会社であるマネックスグループ創業者である松本大氏は、CoinDesk Japanの緊急インタビューで「我々は世界でただ2つの上場暗号資産取引所の1つになる。戦い方、戦略は変わってくる」とコメント。冒頭の言葉は、松本氏が同インタビューの中で、NASDAQ上場計画を発表してから上場に至るまでの2年半を振り返って語った言葉です。私は率直に、本書でいう「勝負師」とはまさに松本氏のような人物ではないかと感じました。
同社のNASDAQ上場の経緯は、6年前に起きた暗号資産NEM流出事件に遡ります。2018年1月26日、コインチェックは外部からのハッキング攻撃を受けたことにより、580億円相当の暗号資産NEMが流出しました。それから約2ヶ月後の2018年4月6日、マネックスグループがコインチェックの買収を発表。同日の合同記者会見で松本氏は「将来的には、コインチェックのIPO(新規株式公開)を目指している」と述べました。
そもそも暗号資産は、2008年に発表された論文「Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System」の中で提唱されたブロックチェーン技術を基盤としています。そのため、暗号資産業界自体が歴史が浅く、最も変化が激しい業界の一つです。特に2018年は、法律が未成熟な中でも様々なスタートアップが暗号資産業界に進出した時期でもあり、将来のキャッシュフローやリスクを見積もるのは容易ではありませんでした。そのような状況下で、マネックスグループがコインチェックを買収したことに対して、当然ながら株主からの批判も数多くありました。それでも松本氏は「もともと我々が登ろうとした山がそういう山だった」と腹を括り、暗号資産業界への進出に踏み切ったのでした。
本書でいう「勝負師の条件」を改めて振り返ると、「誰しもが判断を間違えてしまう複雑極まりない競争状態の中で、他人より優れた判断ができる人」と定義されています。実際に、数多くの新規参入企業がこの業界の煌びやかさに目を奪われ、進出しそして撤退していきました。しかし松本氏は、派手に変化する業界の中から「変わらない本質」を見据えました。変化の本質を見抜き、勝負を仕掛けたからこそ、複雑極まりない競争状態の中で、他人より優れた判断ができたのではないでしょうか。
どのような業界においても、ビジネスでは信じられないほどの変数が業績に影響を与えます。未来を完全に予測することはできないですし、上り坂もあれば下り坂もあります。“まさか”もあります。しかし、だからこそ経営という勝負は面白いのかもしれません。目を奪われがちな激しい変化の中にも、きっと勝敗を分ける「本質」は存在します。その本質を見極められるよう、様々なことに好奇心をもって学び続けたいと思います。
「誰しもが判断を間違えてしまう複雑極まりない競争状態の中で、他人より優れた判断ができる人」の有り様を探求していく。これが可能な頭脳を持つ人が、本書における「勝負師」の意味になる。(P.6)
定点観測している情報をいったん自分の身体に通すという作業をひたすら続けていくことで、自分の身体を、情報の繊細なセンサーに仕立てたわけだ。その結果、微妙な変化やパターン、つながりが読みとれるようになっていった。それが抜群の成果の基となったのだ。(P.23)
「教養」とは、自分やその立ち位置を相対化し、俯瞰するための、外部への通路なのだ。(P.60)
「『もう一人の自分』がいるという感覚を持っている人は手を挙げてください」と聞くことがある。手が挙がるのは、だいたい三十人~五十人に一人くらいだろうか。(中略)この点が、傑出した経営者と、そうでない人とを分ける一つの鍵ではないか、と筆者は考えている。(P.212)
一般的な価値観からいえば「普通それ選ばないでしょ」「なんてもったいない」という選択に、人生の種々の局面で踏み込んでいることだ。少なくとも、筆者であれば「自分の利益にならないから」と避けるような選択肢をとっている。(P.291)
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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