制作費 | 49,800円 | (税込54,780円) |
---|---|---|
維持管理費 | 月額3,980円 | (税込4,378円) |
まほろば文庫
LIBRARY
士業専門のホームページ制作会社 |
LIBRARY |
失敗の科学
著者:マシュー・サイド(著)、有枝 春(翻訳)
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2016年12月23日
著者について
「失敗は成功の基」という言葉があるように、人類の進歩や成功の裏には必ず失敗がある。多くの人間は失敗から目を逸らし、ミスを隠そうとするが、それでは現状は変わらない。一方で失敗と正面から向き合い、仲間と共有し、再発防止のために尽力した組織や業界は例外なく状況を改善した。企業やスポーツチームのみならず、科学、技術、経済がさまざまな進化を遂げ、人々の生活があらゆる面で変わった。
本書はその過程を覗きながら、人間が失敗から学んで進化を遂げるメカニズム、あるいは創造力を発揮して革命を起こすメカニズムを明らかにしていく。「失敗との向き合い方」について教えてくれる一冊だ。ビジネスや政治の世界でも、日常生活でも、基本的な仕組みは同じだ。我々が進化を遂げて成功するカギは、「失敗とどう向き合うか」にある。
『過って改めざる。これを過ちという。』-孔子
孔子と弟子たちの言行録『論語』には、“過ち”に言及した文が多く存在します。冒頭の言葉は、論語の衛霊公篇の中で、孔子が弟子たちに語った言葉です。人は誰でも過ちを犯すもの。しかし、過ちを犯しても本人が過ちと気付かなければ、際限なく同じ過ちを繰り返して改めようがありません。孔子はこれを「本当の過ち」と呼んだのでした。
この言葉からは「まず過ちを認めること」の大切さを学べます。孔子が生きた時代は、中国春秋時代の乱世の時代でした。あらゆる道徳律に一定の基準がなく、多様な価値観が溢れる時代だったと言われています。このような時代においては、時には自分の信ずる価値観から外れた生き方をせざるをえない人も多くいたでしょう。そこで孔子は、たとえ一時的には自分の信ずる価値観からはずれた生き方をしても「過ちに気づき、それを改めさえすれば差し支えない」ということを強調しました。
失敗は、認識されることで初めて学ぶことができます。本書『失敗の科学』の事例として出された「医療業界の失敗」も、当事者が誰も潜在的な問題に気づかないことで事故が起こりました。著者はこれを「クローズド・ループ現象(失敗や欠陥が発生しても、それが組織の改善につながらない現象)」が長引く原因として挙げました。失敗は調査されなければ失敗と認識されません。失敗は、データや調査、第三者からのフィードバックなどの客観的な事実を受け入れることで、初めて認識されるのです。
しかし、失敗をしたときに「失敗を素直に受け入れる」人は多くありません。大多数の人は失敗をしたときに、失敗を隠したり、失敗を受け入れたがらなかったりします。私は、人が失敗を受け入れたがらないのは、決してその個人に問題があるわけではないと考えています。むしろ、個人に「過ちを認めることを許さない」設計になっている社会や組織のルールが問題の根本にあると思います。「失敗をしたら上司に怒られる」「失敗をしたら昇進に響く」といった考えがよぎり、自己防衛反応として失敗を隠してしまうのではないでしょうか。そう考えると、失敗から学ぶ組織に成長するための第一歩は「失敗を受け入れる組織文化を醸成する」ことかもしれません。
私の好きな経営論に、インテル創業者 アンディ・グローブの「マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」というものがあります。この式からわかるのは、「マネジャー(経営者)は、チームのパフォーマンスとアウトプットのみで評価される」ということです。経営者がどれだけ個人で成果を出したとしても、組織全体で成果を出せなければ会社の業績は傾いてしまいます。
本書『失敗の科学』を読み、自分自身の失敗に対する向き合い方が変わったところで、組織のパフォーマンスはあまり向上しないかもしれません。組織が飛躍的に変わっていくのは、経営者が『失敗の科学』での学びを組織のルールに反映し、そのルールを受け入れる組織文化が社員の間で根付いたときだと思います。
一度の失敗は、正しく学びに変えさえすれば、組織にとって大きな財産になります。私たち経営者こそが、“過ちを認め、改められる”文化を築き、全員が心置きなく挑戦できる場を提供していく責任があるのだと改めて感じました。そうした場がある限り、組織は何度でも、より強く、しなやかに生まれ変われると信じています。
失敗から学ぶことは最も「費用対効果」がよい(No.548)
進歩や革新は、頭の中だけで美しく組み立てられた計画から生まれるものではない。生物の進化もそうだ。進化にそもそも計画などない。生物たちがまわりの世界に適応しながら、世代を重ねて変異していく。(No.1778)
実は、「正しいかどうか試してみる」を実行に移すには大きな障壁がある。実は我々は知らないうちに、世の中を過度に単純化していることが多い。ついつい「どうせ答えはもうわかっているんだから、わざわざ試す必要もないだろう」と考えてしまうのだ。これは案外根深い問題かもしれない。(No.1914)
しかし、ビジネス、政治、航空、医療の分野のミスは、単に注意を怠ったせいではなく、複雑な要因から生まれることが多い。その場合、罰則を強化したところでミスそのものは減らない。ミスの報告を減らしてしまうだけだ。(No.3030)
やり抜く力(GRIT)は知力と体力を凌駕する(No.3548)
AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
こちらの記事もどうぞ
書籍のジャンル