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真のマーケティングとは、不満に耳を傾け変化を起こすこと

集客・マーケティング

THIS IS MARKETING

市場を動かす

著者:セス・ゴーディン(著)、中野 眞由美(翻訳)
出版社:あさ出版
発売日:2020年7月22日

著者について

セス・ゴーディン(Seth Godin)。今、もっとも影響力のある作家、ブロガー。altMBA、Squidoo、Yoyodyneの創始者。元Yahoo!副社長、Marketing Hall of Fameのメンバー。運営するaltMBAでは、リーダーのレベルを上げるための1カ月のワークショップを行う。毎日更新されるSETH’S BLOGは、数百万人に読まれ、世界でもっとも人気のあるブログの1つになっている。著書に『パーミッション・マーケティング』(海と月社)、『「紫の牛」を売れ!』『オマケつき! マーケティング』(ダイヤモンド社)、『トライブ 新しい“組織”の未来形』(講談社)、『ダメなら、さっさとやめなさい!― No.1になるための成功法則』(マガジンハウス)、『「新しい働き方」ができる人の時代』(三笠書房)、『「見えてる人」になるたった1つの法則』(実業之日本社)などがある。18冊の著書はベストセラーになり、35カ国語以上に翻訳されている。本書は、TheMarketingSeminar.comのサイトがもとになっている。

本の概要

マーケティングとは何だろうか。ある人は「広告を打つことがマーケティング」というかもしれない。「集客や採用のために、メールを打つことがマーケティング」だと思っている人もいるだろう。

だが、その時代は終わった。マーケティングとは、不満に耳を傾けること。そして、「変化」を起こすことでものごとを改善し、顧客の夢を叶えてあげるプロセスのことなのだ。あらゆる組織、プロジェクト、相互関係のあるものは、「変化を起こす」ために存在している、というのが本書の主張だ。

本書は、潜在顧客の探し方、信頼関係の築き方、顧客の「ストーリー」へのアプローチ法、チャンスの見つけ方など、マーケティングの本質を説く永久保存版だ。顧客の心をつかみ、社会に変化をもたらすマーケティング。その真髄を学べば、ビジネスだけでなく人生までも変わるだろう。

読んだ感想

「私 今も 部屋が 見つかラズ困ってます」

日本語が話せても「外国人」という理由だけで家を借りられない方々がいるのをご存知でしょうか。総務省行政評価局が2019年に日本の企業や大学で働く外国人と留学生を対象にした調査によると、外国人の90.4%が生活環境の改善に「公的支援が必要」と回答しました。必要な具体的支援に関しては、「外国人が借りられる住居の拡大や情報提供」が最多で63.7%。なかには、「外国人は借りられない物件が多く、見つけるのに約2カ月かかった」という意見も寄せられました。

外国人はルールを守らない。うるさい。保証人がたてられない。さまざまな理由で、外国人の入居拒否が続いています。ある動画に、片言の日本語でコメントがつけられていました。それが冒頭の「私 今も 部屋が 見つかラズ困ってます」という言葉です。日付を見ると、今から1ヶ月前、2024年3月のコメントとわかりました。この問題は日本の社会問題として、現在に至るまで根強く残っていることが窺えます。

あたりまえのことですが、すべての外国人がルールを守らないわけではありません。すべての外国人が、うるさくて近隣住民に迷惑をかけるわけではありません。「外国人はルールを守らない」という思い込みがひとり歩きして、「外国人」という理由だけで家を借りられない状況を生み出しています。

社会起業家の田口一成さんは、この問題を解決するために、入居者が外国人と日本人が半々のシェアハウス「ボーダーレスハウス」を立ち上げました。日本人向けのコンセプトは「暮らしながら、世界とつながる」。日本にいながらも外国人と暮らすことができ、語学学習や国際交流をしたいと考える日本人にとって最適な環境となっています。「文化が違うから分かり合えない」という思い込みが生んだ分断。この問題を解決した先には、きっと今より良い景色が広がっている。そんな「ストーリー」を信じて、田口さんもボーダーレスハウスの従業員の皆さんも、一生懸命に働いておられるのだと思います。その取り組みが評価され、今では日本、韓国、台湾の3カ国で79ハウス1110ルームを運営するまで事業が拡大しています。

これが、本書でいう「マーケティング」です。広告を打つことがマーケティングではない。小手先のテクニックで売上をあげることもマーケティングではない。マーケティングとは、不満に耳を傾けること。そして、変化を起こすことです。自分の思い描いた「真実のストーリー」を胸に刻み、社会を今よりもよくする。その改善のプロセスこそが「マーケティング」なのです。

相談したいときに 相談すべき専門家に 相談できる社会へ。これは、弊社が実現したいと考える社会です。この社会が実現できたからといって、世界のすべての問題がなくなるわけではありません。でも「相談したいときに 相談すべき専門家に 相談できる社会」になれば、間違いなく今よりも暮らしやすい世の中になると信じています。変化を起こすのは簡単ではありません。まだまだ力も不足しています。しかし決して諦めることなく、スタッフ一同引き続き邁進してまいります。

印象に残った言葉【本書から引用】

おそらく多くのマーケターが自分の仕事は広告づくりだと思っているだろう。これは仕方のないことだと思う。私のこれまでの人生でも、マーケティングとは広告を表していた。しかし、その時代は終わった。これからは広告をつくるのではなく、自分で「マーケティング」をしなければならない。(P.24)
あなたが消費者を選び、あなたの未来を選ぼう。伸びそうな最小の市場にターゲットを定めれば、ビジネスは成長する。何かを具現化するには責任がともなう。(P.54)
すでに述べたように、あらゆる組織、プロジェクト、相互関係のあるものは、ある1つのことを行うために存在している。それは、変化を起こすことだ。それはモノを売るため、政策を変えるため、世の中を癒すためだ。(P.129)
人は多くの投資(お金、評判、努力など)を行うと、自分の決断を正当化するために勝手にストーリーをつくりがちだ。そのストーリーが信用をもたらす。詐欺師はこのことをよくわかっている。皮肉なことに、顧客からの信用が必要なマーケターがこのことを理解していないことが多い。価値を下げたからといって、今以上に信用を得られるわけではないのだ。(P.220)
あなたの貢献を必要とする人がいる。もし誰かに貢献するのがむずかしいと感じるなら、それは自分に刻み込まれたストーリーのせいだ。自分のために、自分に向けて、自分にマーケティングを行ってみよう。自分に語るストーリーはすべてを変えられる。それこそが、あなたがいなくなったとき、顧客に寂しがってもらえるあなたの価値をつくるものなのだ。(P.291)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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