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データ・ドリブンな物の見方で正しく機敏な意思決定をする

集客・マーケティング

データ・ドリブン・マーケティング

最低限知っておくべき15の指標

著者:マーク・ジェフリー(著)、佐藤純(翻訳)、矢倉純之介(翻訳)、内田彩香(翻訳)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2017年4月20日

著者について

マーク・ジェフリー(Mark Jeffery)。ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院 非常勤教授。同校のテクノロジー&イノベーション研究センターのテクノロジー・イニシアティブ・ディレクター。エグゼクティブMBAコースで「戦略的データ・ドリブン・マーケティング」の講座を担当、複数のエグゼクティブ・プログラムを監督する立場にある。フォーチュン1000社のうち252社の戦略的マーケティング・マネジメントを調査するなど、その実証的な手腕で評価される。マイクロソフト、インテル、デュポンをはじめとする著名企業のコンサルティングにも携わっている。Agile Insights LLCのマネージング・パートナーを務める。

本の概要

フォーチュン500社の業績上位20%の企業には共通する「成功のカギ」がある。それは、データ解析にもとづくマーケティングの意思決定であることだ。本書では、重要度の高い15のマーケティング指標に絞り、実際にどのようにマーケティングの成果を測り、また成果を劇的に向上させることができるかを解説する。この15の指標は、伝統的に用いられている財務的指標に加え、「データドリブン」ではなく「直感」で捉えられがちな非財務的指標も含まれている。

機械学習やビッグデータ、LLM(大規模言語モデル)や生成系AIなどの技術が注目を集める今、データに基づいて経営の意思決定をすることが改めて重要視されている。先行きが見えにくいVUCA時代にこそ、あらためて読み直したい一冊だ。

読んだ感想

“Remember this rule: intuition cannot be trusted in the absence of stable regularities in the environment.“-Daniel Kahneman
(『この規則を覚えておいてください:意思決定を行う際の条件に安定した規則性がない場合、直感は信用できない。』-ダニエル・カーネマン)

2024年3月27日、行動経済学という新たな学問を切り拓いた心理学者、ダニエル・カーネマン氏が亡くなりました。彼が提唱した「プロスペクト理論」は不確実性下において人はどのような予測を立てて行動するのかを説明しており、経済学界における最高峰の学術査読誌「Econometrica」に掲載されたすべての論文の中で史上最も引用されている論文となっています。学術界での貢献は然る事ながら、カーネマン氏は私たちビジネスパーソンの「人間は合理的な判断ができる」という幻想を確固たる裏付けから覆したことも大きな貢献だと考えております。

重要な決断を迫られたときほど、人は直感に頼りがちです。しかし、カーネマン氏によれば、その判断は往々にして間違っていることが多いといいます。もちろん、経営には意思決定のスピードが求められることは多々あります。しかし、迅速な意思決定をするためには「データを見ない」のではなく、むしろ「データを測定しやすいかたちで整備しておく」方が遥かに大切だということを、本書で再認識させられました。

近年では「アジャイル開発」や「アジャイルマーケティング」など、臨機応変な開発手法やマーケティング手法が注目されつつあります。景況の変化が激しい現代において「アジャイル(機敏)」な意思決定は重要です。しかし本書で指摘されている通り、「経験と直感に頼って即断即決をし、変更を加えていくやり方」が「アジャイル」かと言われれば、それは間違っているのかもしれません。アジャイル開発にせよ、アジャイルマーケティングにせよ、迅速な意思決定のためには、どのデータをどのように収集するのかも、収集したデータに基づきどのようなアクションをとるのかも、事前に計画することが何よりも大切です。

行動経済学・意思決定論を研究されている、とある研究者の方が次のようにおっしゃられていました。「私の研究分野を学ぶ最大の効用は、人間の認知的な偏りを知り、意思決定を迅速にすることだ」と。人間であれば、程度の差こそあれ自分の色眼鏡で世界を見てしまいます。その色眼鏡は時に物の見方を歪めてしまい、誤った意思決定を助長してしまうかもしれません。本書で学んだデータ・ドリブンな物の見方は「色眼鏡」を外し、正しく機敏な意思決定を促すための最も有効な手段なのかもしれません。

印象に残った言葉【本書から引用】

一番多い失敗理由は、収集したデータの活用方法について経営陣がしっかりした計画を立てていないことだ。すなわち、全社的に多大な費用と時間をかけてデータを集めたはよいが、チームはそれをどう活用すればよいのかわからないという状況だ。このような状況に陥らないためには、データベース構築の大プロジェクトが動き出す前に戦略プランを固める必要がある。(P.48)
事前に測定しやすい設計を行っておくことは、後々の99%の価値を生むために必要な1%の作業だと言っても過言ではない。(P.77)
財務系指標で語れなければ、経営陣の信頼は得られない(P.182)
最も見過ごされがちなマイナスCLTVの要因は、カスタマーサポートへの問い合わせだ。問い合わせ対応にかかるコストには、コールセンタースタッフの人件費や経費と、電話の通信料がある。(P.241)
本調査をしてみて発見したことの中で特に興味深いのは、MCMが業績に大きく影響を与えるにもかかわらず、有効なMCMを導入している企業がほとんどないことだ。なぜだろうか。 この調査での回答から4つの壁が浮き上がっている。(1)経営陣からのサポートの不足、(2)信頼の不足、(3)部門間協力の不足、(4)スタッフのスキル不足だ。(P.428)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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