大きな成果は日々の小さな努力の積み重ねから生まれる

自己啓発

やり抜く人の9つの習慣

コロンビア大学の成功の科学

著者：ハイディ・グラント・ハルバーソン（著）、林田レジリ浩文（翻訳）
出版社：ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日：2017年6月22日

著者について

ハイディ・グラント・ハルバーソン。社会心理学者。コロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長。コロンビア大学で博士号を取得。モチベーションと目標達成の分野の第一人者。「ハーバード・ビジネス・レビュー」「ハフィントンポスト」「サイコロジー・トゥデイ」「フォーブス」などへの寄稿多数。本書のほか『やり抜く人の９つの習慣』（ディスカヴァー）『やってのける』（大和書房）『だれもわかってくれない』（早川書房）などのベストセラーがある。

本の概要

成功とは、生まれつきの才能で決まるものではない。成功する人には共通の思考や行動のパターンがある。そう語るのは、コロンビア大学でモチベーション理論を教える社会心理学者の著者、ハイディ・グラント・ハルバーソンだ。

本書では、目標を達成できる人に共通する思考や行動を「9つの習慣」にまとめて解説している。「9つの習慣」の一つひとつは、驚くほど当たり前のことに感じられるものばかり。しかし、「当たり前で、簡単に実行できる」ことと「誰もが当たりまえに実行できている」ことはイコールではない。

最も大切なのは、本書で得る知識を、実際の行動に落とし込むこと。それを忘れずに本書を読み進めていけば、あなたが目標を達成する日も遠くはないはずだ。

読んだ感想

『小さいことを積み重ねることが、とんでもないところに行くためのただひとつの道だと思っています』－イチロー

2004年10月1日、新聞の一面見出しを「イチロー新記録」の文字が飾りました。262安打というメジャーリーグ年間最多安打記録を樹立したイチロー選手が放った言葉。それが冒頭の言葉です。イチロー選手のこの華々しい快挙は、一朝一夕に成し遂げられたわけではありません。イチロー選手が少年の頃から続けてきた絶え間ない努力こそが、この「とんでもない」結果を生み出したのです。

勉強でも、スポーツでも、仕事でも、どんな世界でも変わらない原理原則がひとつあります。それは「偉大なる成果は日々の小さな努力の積み重ねから生まれる」ということです。たとえば、京セラの第二代社長を務めた伊藤健介さんは工場に行くとまずトイレのスリッパを見るといいます。伊藤さんは、スリッパが綺麗に並んでいるなら問題はないが、乱れているなら仕事にも悪い影響が出ると考えていました。スリッパを揃えることすらできない心の余裕がない状態では、もっと大事なことができていない可能性があるからです。凡事徹底、つまり「小さいことの積み重ね」ができなければ、大きな成果を生み出すことなどできないと考えていたのです。

しかし、本書にも記されているように「当たり前で、簡単に実行できる」ことと「誰もが当たりまえに実行できている」ことは必ずしもイコールではありません。一つひとつの行為は実行が難しくなくても、それらを習慣化して積み重ねられないこともあります。本書は、そんな「小さなこと」をどのように積み重ねれば習慣化しやすいかを心理学的に説いた、極めて実用的な本だと感じました。

デューク大学の研究によると、人間の一日の行動のうち約45%は習慣で成り立っているといいます。もし1日16時間起きていると仮定すると、1日約7.2時間、1年で2,628時間もの時間が習慣で成り立っている計算となります。この日々の習慣を味方につけることが、成功への一番の近道ではないでしょうか。

著作家の中谷彰宏さんは「したい人10000人、始める人100人、続ける人1人」という言葉を自身のブログで繰り返し述べています。この本を読んで、習慣を「実行したい」と思う人はたくさんいるかもしれませんが、実際にやる人はほとんどいません。ましてや、続けられる人はほとんどいないかもしれません。

だからこそ、本書では「最も大切なのは、本書で得る知識を、実際の行動に落とし込むこと」が重要視されているのだと思います。私も、本書で学んだことを実践しながら、「読んで終わり」ではなく実際の行動に落とし込み、繰り返し、習慣化していこうと決意しました。

印象に残った言葉【本書から引用】

最も大切なのは、本書で得る知識を、実際の行動に落とし込むこと─それを忘れずに本書を読み進めていけば、あなたが目標を達成する日も遠くはないはずです。（P.2）

事前に「いつ」「何を」やるかを、はっきりと決めておく─これで実行できる確率は2倍から3倍も高くなります。（P.15）

「目標は達成できる」と信じるのは変わらず大切なことです。しかし、「目標は簡単に達成できる」と考えてはいけない─ここに注意すべきなのです。 つまり「〝非現実的な楽観主義者〟になることなく〝現実的な楽観主義者〟であれ」ということです。（P.31）

多くの人は、自分の意志力を過大評価しています。自分の意志で誘惑に打ち勝てると考える結果、普段から、多くの誘惑に囲まれた生活をすることになり、むだに意志力を消耗してしまうのです。（p.67）

何かをやめるときには、段階的にやめるよりも、一度にすっぱりとやめる方がいい（P.70）

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