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情報過多社会を生き抜くための「伝わる文章術」とは

自己啓発

Simple 「簡潔さ」は最強の戦略である

著者:ジム・バンデハイ (著)、マイク・アレン (著)、ロイ・シュウォーツ (著)、須川綾子 (翻訳)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2024年9月11日

著者について

ジム・バンデハイ(Jim VandeHei)。アクシオス共同設立者兼CEO兼会長。ポリティコ共同設立者兼元CEO。アクシオスは現在670万の定期購読を誇り、過去10年間で最も成功したデジタルメディアの一つとなった。これまでウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストの記者も務め、10年以上にわたって大統領と議会を取材、2015年にはベン・ブラッドリー年間最優秀編集者賞を受賞。本書は世界16か国で刊行予定、アメリカだけでも25万部を超えるベストセラーになっている。

本の概要

インターネットの急速な普及により、私たちを取り巻く環境は劇的に変化した。ところが、情報が氾濫する環境にあっても、私たちが文章を書き、情報を伝える方法は古代からほとんど変わっていない。「言葉の洪水」に襲われている現代人にとって必要なのは、あらゆる言葉を「短く、しかし浅くはしない技術」である。

本書は、物事をスマートに、そして短く表現する方法をわかりやすく解説している。この方法を著者らは「スマート・シンプル」と名付けた。スマート・シンプルは、思考を研ぎ澄まし、より明快に伝達し、自分と相手の時間を節約するための仕組みであり、戦略である。

本書を読み、スマート・シンプルを実行することで、これまでよりずっと少ない言葉で遥かに多くの内容を伝えられるようになるだろう。

読んだ感想

“Conceiving of writing as the process whereby you put down thoughts you already have will give you a bad theory of what writing does and can do.”
(書くことを、すでに持っている考えを書き留める作業とみなしてしまうと、ライティングの役割や可能性について誤った理解を招くことになるだろう。)

これは、ペンシルベニア州立大学のEric Hayot(エリック ハイオット)教授が、著書『The Elements of Academic Style: Writing for the Humanities』の中で記した言葉です。エリック教授は比較文学の研究者であり、『The Elements of Academic Style』は人文学系の学生のために論文の書き方について執筆されたものでした。その中でエリック教授が提唱した「Uneven U」というライティングの手法は、読み進めやすい学術的文章を書く体系的なノウハウとして、今日でも研究者や学生の論文の中で採り入れられています。そして本書『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』で解説されている「スマート・シンプル」の手法も「Uneven U」との共通点がいくつも存在し、まさにこれが"伝わりやすい文章の本質"ではないかと感じました。

総務省が発表しているデータによると、21世紀初頭から現在までの約20年の間に、インターネット全体の情報量は約6,000倍以上になっていると言われています。この背景には、ブロードバンド回線の普及、SNSを代表とする個人単位での情報発信、情報量の大きい動画メディアの台頭など、複数の要因が複雑に絡み合っています。特に最近では、若年層を中心に映像作品を倍速でみたり、TikTokやYouTubeのショート動画市場が盛り上がったりなど、「ファストコンテンツ」の消費が急速に拡大しています。この現象は、膨大な情報の海の中で、若者たちが時間対効果(タイパ)を重要視する傾向が強くなっていることを示しているのではないでしょうか。

私たちを取り巻く情報量がどんどん膨大になっていく一方で、私たちの脳は古代からほとんど進化していません。そして、私たちが文章を書き、情報を伝える方法もほとんど変わっていません。昔ながらの「伝え方」を踏襲するだけでは、きっと時代から取り残されてしまうでしょう。変化する環境に合わせて、私たちも「伝え方」をアップデートするときが来ていると身に染みて感じています。

言葉を短く、しかし意味を浅くせずに情報を伝えるためには、適切な言葉選びをする必要があります。相手の気持ちを考え、結論から簡潔に言い表さなければいけません。頭の中にある言葉をただ「書き出す」だけでは、"伝わる文章"を書くことは難しいです。だからこそ、本書で「スマート・シンプル」の技術を学び、実践していくことが重要です。日々膨大な情報が飛び交う現代だからこそ、「伝わる文章」を書く力を身につけることは、もはやビジネスや学問の場だけでなく、あらゆるコミュニケーションの場面で価値のあるものだと強く感じました。

印象に残った言葉【本書から引用】

インターネットの普及により、情報の消費をめぐる行動は激変した。ところが、情報が氾濫する環境にあっても、私たちが文章を書き、情報を伝える方法はほとんど変わっていない。(P.16)
相手が望む以上のことを読ませたり、聞かせたりしてはいけない。さらに知りたいかどうかの判断は相手に委ねること。 続く内容は「イエス」と判断されたときだけ読んでもらう。本当に時間を割くに値する内容にすること。(P.35)
読み手に「少なくともこれだけは心にとどめてほしい」ことを1つだけ書く。ほかのことは後回しでいい。 それをできるだけ短い1文にする。短ければ短いほどいい。疑問文ではなく、断定的な文にするかデータを示す。新しい情報かきわめて重要な内容が含まれていることを確認する。弱い言葉をそぎ落とし、ぼやけた動詞や形容詞を取り除く。(P.69)
「〜する可能性がある」「〜かもしれない」「〜するおそれがある」──こうした表現は、実際に起きていることを何も伝えていない。(P.124)
エキスパートであれ、さもなければエキスパートを見つけよ。(P.232)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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