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「発動の機」を見逃さず、信念を貫き通した吉田松陰の生涯から学べること

自己啓発

覚悟の磨き方

超訳 吉田松陰

著者:池田 貴将
出版社:サンクチュアリ出版
発売日:2013年5月25日

著者について

池田貴将(いけだ たかまさ)。早稲田大学卒。リーダーシップ・行動心理学の研究者。 大学在籍中に世界No.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズから直接指導を受け、ビジネスの成果を上げる「実践心理学」と、東洋の「人間力を高める学問」を統合した独自のメソッドを開発。リーダーシップと目標達成の講座を開始すると、全国の経営者・役職者からたちまち高い評価を得た。 また安岡正篤、中村天風、森信三の教えを学び、東洋思想の研究にも余念がなく、中でも最も感銘を受けた吉田松陰の志を継ぐことを自らの使命としている。

本の概要

誰よりも熱く、誰よりも冷静だった思想家、吉田松陰。かつて、松陰ほど型破りな日本人はいただろうか。彼は鎖国のまっただなかの時代に、外国の文明を学ぼうと死罪を覚悟で黒船に乗り込もうとした。その際、松陰は次の言葉を言い残している。

『今ここで海を渡ることが禁じられているのは、たかだか江戸の250年の常識に過ぎない。今回の事件は、日本の今後3000年の歴史にかかわることだ。くだらない常識に縛られ、日本が沈むのを傍観することは我慢ならなかった。』

松陰は生まれたときから空気のように存在していた「しきたり」を破り、行動を持って自分の信念を貫くことをよしとした。幽閉の処分となると、長州藩萩にて十畳と八畳の二間しかない小さな塾「松下村塾」を開き、下級武士の子どもたちに幅広い学問を教えた。結果、高杉晋作や伊藤博文をはじめとする後の大臣や大学創設者になる面々を次々と排出したのだ。

本書は、そんな幕末の思想家 吉田松陰が残した言葉を、現代人にもわかりやすく、理解しやすく変換した人生哲学書である。本当に後悔しない生き方とは一体なにか。そのような問いに、松陰の生き様とともに向き合える一冊だ。

読んだ感想

『心はもと活きたり、活きたるものには必ず機あり、機なるものは触に従ひて発し、感に遇ひて動く。発動の機は周遊の益なり。』-吉田松陰

これは、松陰が21歳のとき、九州へ勉学の旅に出た際にしたためた日記『西遊日記』の序文に出てくる言葉です。心はもともと生き生きしたもので、必ず動き出すきっかけがある。そのきっかけは何かに触発されて生まれ、感動することによって動き始める。旅はそのきっかけを与えてくれる。本書『覚悟の磨き方』でも触れられているように、松陰が頭ではなく感情で学ぼうとする男だったことを感じさせる一節です。

誰しも、子どもの頃は大きな夢を持っていたはずです。野球選手になって世界で活躍したい。宇宙飛行士になって青い地球をこの目で見たい。総理大臣にだってなれるかもしれない。そんな、果てしなく大きな夢を持って、大人になることを待ち侘びていました。しかし、年を重ねるにつれて、いつしか自分の限界を決めてしまう。次第に現実を直視するようになり、新しいことへの挑戦を躊躇する頻度も増えてきます。人はそれを「大人になる」と表現するのかもしれません。

そのような意味でいうと、松陰はずっと「子どものまま」だったと思います。常識に縛られることなく、やりたいことをやる。達成したい目標があれば、限界なんて考えずに徹底的にやる。自身の心が動くままに行動し続け、決して諦めない。松陰は子どものままだったからこそ、信念を貫き通した生き方ができたのではないかと思います。

芸術家の岡本太郎氏は「素朴に、無邪気に、幼児のような眼をみはらなければ、世界はふくらまない」という言葉を残しています。松陰が持っていたのも、まさにこの「幼児のような眼」であり、どんな出来事にも真剣に心を動かし、純粋な好奇心で挑む姿勢でした。周囲の目や時代の常識にとらわれず、感じるままに学ぶ。そして行動する松陰の生き様は「限界に挑む」というよりも「限界を知らずに生きる」ことそのものでした。

私たちも、日々の忙しさや責任に押しつぶされてしまうことがあるかもしれませんが、本来の自分の「発動の機」を見失わないことが大切です。自分が何に触れ、何に感動して心が動くのか。その小さな心の動きを、もっともっと大切にしていくことが重要なのかもしれません。子どもが世界を知るたびに目を輝かせるように、大人になった今だからこそ、改めて純粋な気持ちで「知らない世界」を見つめることで、人生はより豊かに、より自由に広がっていくのではないでしょうか。

最後に、松陰が安政の大獄にて処される前に、門下生である高杉晋作に贈った言葉で締めくくりたいと思います。

『死して不朽の見込あればいつでも死ぬべし。生きて大業の見込あらばいつもでも生くべし。』(死んでも朽ちることはない、という見込みがあれば、いつでも身を投げ出すべきである。生きて大きな仕事をなし遂げる見込みがあれば、いつまでも生き永らえるべきである。)

印象に残った言葉【本書から引用】

今ここで海を渡ることが禁じられているのは、たかだか江戸の250年の常識に過ぎない。 今回の事件は、日本の今後3000年の歴史にかかわることだ。くだらない常識に縛られ、日本が沈むのを傍観することは我慢ならなかった。(No.27)
大切なのは、不安をなくすことではない。いかに早く、多くの失敗を重ねることができるか。そして「未来はいくらでも自分の手で生み出すことができる」という自信を、休むことなく生み出し続けることなのである。(No.247)
「先行きの不安」に心を奪われないようにするためには、あれこれ目移りすることなく、自分という人間を鍛えることに集中して、「全力を出し切りますので、あとは天命におまかせします」という心構えでいるのが、良いと思います。(No.343)
最もつまらないと思うのは人との約束を破る人ではなく、自分との約束を破る人です。(No.524)
評判は傷ついても、生き方は傷つかない。生き方を傷つけるのは、自分だけである。(No.773)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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