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「反応しない」ことで、感情の連鎖を断ち切る

自己啓発

反応しない練習

あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」

著者:草薙龍瞬
出版社:KADOKAWA/中経出版
発売日:2015年7月31日

著者について

草薙龍瞬(くさなぎりゅうしゅん)。僧侶・作家/興道乃里(こうどうのさと)代表。仏教を「現実に役立つ合理的な方法」として紹介。仏教講座&坐禅会を開催するほか、日本全国行脚(子供向けの勉強会・大人向けの講演会)を開催。インド・マハーラシュトラ州で社会改善NGOと幼稚園・小学校を運営。著書に『反応しない練習』KADOKAWA/『怒る技法』マガジンハウス/『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』筑摩書房ほか。

本の概要

誰かの一言に振り回される。気にしちゃ駄目だと頭ではわかっているけれど、つい他人の「言葉」に一喜一憂してしまう。現代人の「苦しみ」のすべては、自分が「反応する」ことから始まっているのだ。それを理解することが、悩みを解決する第一歩だと著者は語る。

本書の目的は、「感情を、上げもせず、下げもしない」方法だ。最初から「反応しない」という前提に立ち、ムダな感情を防ぐ。そうすれば、他人の言葉に振り回されることなく、自分の感覚を大切にした穏やかな生活を送ることができるようになるだろう。

本書では、ブッダの原始仏教の考え方を採り入れながら、反応をしないための具体的な方法論を解説している。SNSやネットの情報に振り回され、些細な言葉に一喜一憂してしまう方、日々の感情の波に疲れを感じている方に読んでいただきたい一冊だ。

読んだ感想

『怒りには、怒らないことによって勝てる。悪事には、善い行為で勝てる。物惜しみには、分かち合うことによって勝てる。真実によって、虚言の人に勝てる。』-『ダンマパダ』(法句経)より引用

これは仏教の教えを短い詩節の形(アフォリズム)で伝えた、韻文のみからなる経典『ダンマパダ』(法句経)より引用した言葉です。この中にも、本書のメインテーマである「反応しない」という智慧が凝縮されていると感じました。たとえば、他人の“怒り”という感情に対して、同じように怒りで反応するのではなく、むしろ「怒らない」という選択をすることで、感情の連鎖を断ち切ることができる。これは本書で著者が説く「反応しない練習」の本質とも重なると感じました。

SNSをはじめとするデジタルメディアは、私たちユーザーを反応させ、行動を促すように設計されています。Xのおすすめ機能やYouTubeのレコメンド機能、TikTokをはじめとするShort動画など、ユーザーの感情を揺さぶり「即時の反応」を引き出すための工夫が各所に施されています。アテンション・エコノミーがもたらす負の側面が問題視されつつある現代だからこそ、仏教の「反応しない」という教えが再注目されているのではないかと感じました。

2002年にノーベル経済賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマン氏は、著書『ファスト&スロー』(早川書房)の中で「速い思考(システム1)」と「遅い思考(システム2)」という概念を提唱しました。速い思考とは、私たちが日常的に行っている直感的な判断や自動的な反応のことです。例えば、スマートフォンの通知音が鳴った瞬間に反射的に手を伸ばしたり、SNSで自分と異なる意見を目にした時に即座に反論したくなったりする反応がこれにあたります。この思考は素早く、ほとんど意識せずに行われるため、エネルギーの消費が少ない半面、時として誤った判断や感情的な反応を引き起こすことがあります。

一方の遅い思考は、意識的に脳を働かせ、じっくりと考えを巡らせるプロセスです。たとえば、重要な決断を下す時に様々な選択肢を比較検討したり、複雑な数学の問題を解いたりする時に働く思考がこれにあたります。この思考は多くのエネルギーを必要とし、時間もかかりますが、より合理的で適切な判断を可能にしてくれます。

私たちは往々にして「速い反応」による即座の感情的反応に支配されがちです。その結果、悩みが生まれ、苦しんでいる方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、一呼吸置いて「反応しない」という選択をすることで、肩の力を抜いて生きられるようになるのかもしれません。

繰り返しになりますが、カーネマンは「人間の不合理な判断の多くは、システム1(速い思考)に支配されているから」と指摘しました。しかし興味深いことに、2500年前のブッダもまた、人々の苦しみの源を「即座の反応」に見出していました。この不変の真理は、スマートフォンの通知音に囚われ、SNSの言葉に心を乱される現代を生きる私たちにとっての「心の処方箋」となるのではないでしょうか。

印象に残った言葉【本書から引用】

もしあなたが、これ以上悩みを増やしたくない、充実感を大事にしたいと願うなら、テキトーな反応、妄想を減らすことです。そのために「カラダの感覚を意識する」ことを習慣にしてください。(P.38)
「ムダな感情を防ぐ」上で、一番重要なのは、最初から「反応しない」という前提に立つことです。(P.81)
人の人生はつねに、「欲に駆られて不快を感じている姿」と「快を大切にする姿」とに、分かれるのです。 欲求を生きるエネルギーに変えて「快」を感じる生き方は、合理的です。(P.102)
人は三つの執着によって苦しむ。①求めるものを得たいという執着(だがかなわない)。②手にしたものがいつまでも続くようにという執着(やがて必ず失われる)。③苦痛となっている物事をなくしたいという執着である(だが思い通りにはなくならない)。
この心の渇き、憤懣、落ち込み、漠然とした不安、自分を受け容れられない心、生きることのつらさは、もはや〝新しい心〟を持たないかぎり、癒されることはないだろう──私たちは、そう気づくべきなのかもしれません。 だからこそ、心にたしかな〝よりどころ〟を持つべきなのです。(P.168)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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