| 制作費 | 49,800円 | (税込54,780円) |
|---|---|---|
| 維持管理費 | 月額4,480円 | (税込4,928円) |
|
まほろばブログ
BLOG
中小企業経営・マーケティングの基礎知識 |
BLOG |
2026.04.21|経営・マーケティング
世界的な地政学的緊張の高まりや構造的な人手不足を背景に、仕入れ価格や光熱費、人件費など、企業活動に関わるコストは幅広く上昇を続けています。
「なんとなく苦しい」と感じながらも、具体的な対策に踏み出せていない企業や経営者は少なくありません。値上げに踏み切れない、どの費用を見直すべきか判断できない、ひとまず様子を見る… こうした状況は決して特別なものではないでしょう。
とりわけ中小企業では、大企業のようにコスト増を内部留保で吸収する余力が乏しい一方、価格を引き上げれば顧客離れを招くのではないかという懸念もあり、判断が難しくなりがちです。しかし現状では、「何も手を打たない」という選択こそが、最もリスクの高い対応になりつつあります。
インフレ局面において重要なのは、特別な打ち手を探すことよりも、経営の基本に立ち返ることです。そこで今回は、今すぐ見直すことができるポイントを、4つの視点から整理します。
目次
コスト管理というと、まず節約を思い浮かべるかもしれません。しかし本来の出発点は、「何にいくらかかっているかを正確に把握すること」です。経営環境が厳しくなっていると感じていても、どの費目がどれだけ増えているのかを数字で確認できなければ、具体的な対策は立てにくくなります。
まず取り組みたいのは、固定費と変動費を分けて整理することです。この二つを区別しないまま全体を削減しようとすると、判断の優先順位が見えにくくなります。
最初に確認したいのは固定費です。家賃やリース料、各種サブスクリプション、保険料など、毎月一定額が発生する支出を洗い出し、見直しの余地がないかを検討します。固定費は一度削減できれば、その効果が継続するため、収益構造の改善につながりやすい特徴があります。契約更新のタイミングや、利用していないサービスの解約など、想定以上に見直せる項目が見つかることもあります。
そのうえで変動費を検討します。仕入れや外注費、広告費など、売上や生産量に応じて変動する支出は、発注量の調整や仕入れ先の見直しによって比較的早く対応できます。各費目の前年との比較を行い、上昇幅の大きい項目から優先的に対応していくと、効果的に改善を進められます。
また、コストの把握は社内の意思統一にも役立ちます。「なぜ値上げが必要なのか」「なぜこの事業を縮小するのか」といった判断も、数字を示すことで納得感を持って共有できます。感覚ではなくデータに基づいて意思決定できる組織ほど、環境の変化にも柔軟に対応しやすくなります。
値上げに踏み切れない経営者の多くは、「お客様に嫌がられるのではないか」「競合に流れてしまうのではないか」という不安を抱えています。その懸念はもっともですが、コスト増を自社で吸収し続ければ、事業の継続が難しくなり、結果としてお客様への提供価値も維持できなくなります。価格転嫁は強引な値上げではなく、適正な取引関係を維持するための現実的な判断といえます。
価格転嫁が円滑に進むかどうかは、「なぜこの会社から買うのか」という理由が顧客に伝わっているかに左右されます。言い換えれば、自社の付加価値が明確になっているかどうかです。
付加価値は、新たに作り出すものとは限りません。すでに提供している強みや工夫を言語化し、顧客にとっての価値として整理することで見えてきます。自社の強みを棚卸しし、顧客が評価している点を確認することが、価格改定の根拠になります。価値が整理されていないまま値上げを行うと、どうしても一方的な印象を与えやすくなります。
付加価値が十分に伝わっている企業では、価格改定に対する抵抗は比較的小さくなります。「この会社のサービスには相応の価値がある」と認識されていれば、一定の価格変更は受け入れられやすくなるためです。日頃から顧客視点で自社の価値を伝え続けることが、価格転嫁を進めやすい土台になります。
伝え方も重要な要素です。価格改定を告知する際は、実施時期・理由・改定内容を明確に示すことが基本となります。「原材料費の高騰により、〇月より価格を改定いたします」といった事実の説明に加え、「品質やサービス内容は維持します」「今後も安定した提供に努めます」といった関係性への配慮を示すことで、受け止め方は大きく変わります。
また、長期的な取引のある顧客には、事前に個別で連絡を入れるといった配慮も有効です。値上げは慎重な対応が求められますが、誠実に説明することで、むしろ信頼関係を強化する機会にもなり得ます。
売上は前年比で増えているのに、手元に残るお金が少なくなっている… そうした経験を持つ経営者は少なくありません。その要因の一つが、粗利率の低下です。
粗利とは、売上から原価を差し引いた利益を指します。インフレ局面では原価が上昇するため、販売価格を据え置いたままでは粗利率は自然と下がります。このため、「売上を伸ばせば解決する」という考え方だけでは、十分な改善につながらない場合が出てきます。
判断の軸を売上から粗利へと切り替えると、見え方は大きく変わります。例えば売上が同じ1,000万円でも、粗利率が30%であれば粗利は300万円、60%であれば600万円となり、利益には大きな差が生まれます。「どの仕事を受けるか」「どの商品に注力するか」を粗利率で判断するようになると、経営の優先順位も変わってきます。
商品やサービスごとに粗利率を算出すると、これまで気づかなかった点が見えてくることもあります。売上規模の大きい主力商品が実は利益率の低い構造になっていたり、規模は小さくても粗利率の高い商品・サービスが十分に活用されていなかったりするケースも少なくありません。
「売れているもの」と「儲かっているもの」は必ずしも一致しません。もちろん経営方針やブランド戦略も重要ですが、まずは粗利率の低い領域を把握し、利益率の高い領域に注力することが、インフレ下では特に有効な判断となります。
新規顧客の獲得には、既存顧客に再購入してもらう場合の数倍のコストがかかるといわれています。インフレ局面では、広告費や営業コストに加え、顧客の検討が慎重になり受注までの時間も長くなります。その結果、新規獲得に偏った戦略は効率が低下しやすくなります。
一方で、既存顧客との関係を深めることは、コストを抑えながら売上の安定につなげる有効な方法です。特別な仕組みを用意しなくても、定期的な情報提供や丁寧なフォロー、困りごとへの先回りした対応を重ねることで、「この会社は自分たちを理解してくれている」という信頼感が生まれます。こうした積み重ねが、長期的な関係の基盤になります。
接点を継続的に持つことで、顧客の状況変化にも気づきやすくなります。取引が安定しているという理由だけで関係を維持していると、気づかないうちに競合へ切り替えられてしまうこともあります。定期的に連絡を取り、顧客のビジネスや課題の変化を把握しておくことは、関係維持のうえで重要です。そうした変化の中から、新たな提案の機会が生まれることも少なくありません。
また、関係が深まった顧客からの紹介は、質の高い新規獲得につながりやすい傾向があります。信頼を前提とした紹介は、広告経由の問合せに比べて成約率が高く、取引も長続きしやすくなります。新規獲得の効率が落ちやすい局面だからこそ、既存顧客との関係に丁寧に向き合うことが、結果として事業の安定と成長の双方につながります。
足元の数字を整理し、自社の価値を言語化し、顧客との関係を見直す。ここまで紹介してきたポイントは、インフレ局面に限らず、平時にも通用する経営の基本です。物価上昇は負担が大きい一方で、経営のあり方を見直し、体質を強化する契機と捉えることもできます。
一度にすべてを変える必要はありませんが、できるところから着実に取り組むことで、経営の土台は徐々に整っていきます。インフレ時にも、その後の環境変化にも強い企業は、こうした基本を地道に積み重ねてきた企業といえるでしょう。

AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
こちらの記事もどうぞ
カテゴリ