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優れたアイデアを生み出し続ける「思考の枠組み」を身につけることが大切

自己啓発

解像度を上げる

曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法

著者:馬田 隆明
出版社:英治出版
発売日:2022年11月19日

著者について

馬田隆明(うまだたかゆき)。東京大学産学協創推進本部 FoundX ディレクター University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトを経て、2016年から東京大学。東京大学では本郷テックガレージの立ち上げと運営を行い、2019年からFoundXディレクターとしてスタートアップの支援とアントレプレナーシップ教育に従事する。様々な起業志望者、起業家からの相談にアドバイスをするほか、スタートアップ向けのスライド、ブログなどで情報提供を行っている。著書に『逆説のスタートアップ思考』(中央公論新社)、『成功する起業家は居場所を選ぶ』(日経BP社)、『未来を実装する』(英治出版)。

本の概要

優れた起業家には、共通点がある。彼ら彼女らに取り組んでいる領域のことを聞くと、明確かつ簡潔で分かりやすい答えが返ってくるのだ。話を聞くうちに一人の顧客像がはっきりと見えてくる。つまり「解像度が高い」のだ。

本書は、東京大学産学協創推進本部 Faund X ディレクターの馬場隆明氏が「解像度」を「深さ・広さ・構造・時間」の4視点で分解し、曖昧な思考を明晰にする方法を解説している。本書を読めば、現状への理解を深め、新しいビジネスや改善の機会を認識し、新たな脅威を見つけて、効果的に業務を遂行できるようになるだろう。

読んだ感想

“I don’t care that they stole my idea . . I care that they don’t have any of their own.”-Nikola Tesla
(『わたしのアイデアを盗まれても気にしない。わたしが気になるのは、彼らが自分自身のアイデアを一つも持っていないということだ』-ニコラ・テスラ)

「エジソンが恐れた天才」と呼ばれる発明家、ニコラ・テスラをご存知でしょうか。彼は、交流電気方式、無線操縦、蛍光灯など、現在も使われ続けている数々の技術を発明しました。1880年代後半には、当時トーマス・エジソンが推進していた「直流送電」を中心としたシステム構築に異を唱え、「交流送電」を中心としたシステムを提案し続けました。そして現在、テスラが提唱し続けた「交流電流」は、家庭の電流から産業機器に用いられる電流まで、広く一般的に普及しています。

彼の秀逸だったのは、「優れたアイデアを生み出した」のではなく、「優れたアイデアを生み出す思考法を身につけていた」という点ではないかと私は考えています。だからこそ、テスラは自身のアイデアを盗まれても気にしなかったのではないでしょうか。

本書でも述べられている通り、優れた結果を残す起業家は、顧客に対して、市場に対して、そしてビジネスに対して高い解像度を有しています。そのため話が簡潔かつ明確で、洞察もユニークです。たとえ、競合にビジネスモデルを模倣されたとしても、その先の解決策や進むべき道、新たなアイデアを生み出します。競合も、ビジネスモデルを型だけ模倣することはできたとしても、新たなアイデアを生み出す思考法まで模倣するのは極めて困難です。

解像度は「深さ」「広さ」「構造」「時間」の4つの要素に分解されます。本書でも指摘されている通り、その中でも多くの人に足りないのが「深さ」です。逆に言えば、優れたアイデアを生み出す人の思考は、とにかく深い。トヨタ生産方式の一環として、問題を発見したらなぜを5回繰り返す「なぜなぜ5回」は有名です。優秀な起業家のみならず、テスラのような研究者、あるいは一流の結果を出している企業の社員も、例に漏れず「なぜなぜ」を何度も何度も繰り返しているのは間違いないでしょう。

テスラがアイデアを盗まれても気にしなかったのは、彼が常に新しいアイデアを生み出す源泉を持ち続けていたからこそ。模倣されたとしても、そこには深みと発展性がなく、やがて行き詰まっていくことでしょう。一方で、テスラのようにアイデアの源を絶やさない者にとっては、盗まれることなどかえって新たな挑戦のきっかけとなり得たのかもしれません。

卓越した成果を生み出すには、単に優れたアイデアを一度生み出せばよいのではなく、優れたアイデアを生み出し続ける"思考の枠組み"を身につけることが何より重要なのです。そしてその根底にあるのが、物事の本質を追求し深く探究する姿勢なのでしょう。テスラはその存在そのものがその姿勢の象徴といえるかもしれません。偉大なアイデアは一瞬の閃きから生まれるのではなく、絶え間ない探究心の賜物なのです。

印象に残った言葉【本書から引用】

一定以上に深い情報はなかなかインターネットでは手に入らず、希少性が高まっています。(P.52)
その苦しみこそが世界を理解しようと努力している証であり、世界をより深く知り、より深く愛そうとしている証でもあるように思います。(P.82)
深めるというと、詳しく物事を知る、そのために情報を集める「内化」がイメージされがちですが、「外化」、つまり書く・話す・発表するなど、試行錯誤して自分の中にあるものを表現するプロセスも同時に必要です。情報・思考・行動の考え方で言えば、情報を仕入れるだけではなく、思考し、きちんと行動することが大事だということです。(P.152)
一方、心理的安全性が高いとミスを報告することに躊躇がなくなるため、ミスが多く報告されるようになり、チームはミスからの学びを経て、職場全体として重大な事故が起こりづらくなります。図の中でループを見つければ、悪循環を断ち切り、好循環へとシステムを変えるためのヒントも得られます。(P.341
美しさを担保するデザインのガイドラインや、メンテナンス性を保つための開発のガイドラインなど、制約方針を自分たちで用意して、その制約に準じることで一貫性を保つ場合もあります。たとえばスライドの色使いのガイドラインがあることで、スライドの一貫性を保つことができます。選択に迷ったときはそうしたガイドラインに戻ることで、適切な判断を下せることも増えるでしょう。(P.435)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級

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