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2026.09.26|経営・マーケティング
調べものをするとき、検索窓にキーワードを打ち込む代わりに、ChatGPTやGeminiに質問する人が増えています。Googleで検索しても、AIがまとめた回答を読むだけで疑問が解決することがあります。
「以前ほどサイトから問い合わせが来なくなった」「ブログのアクセスが落ちてきた」。そんな変化を感じている経営者の方もいるのではないでしょうか。原因は一つとは限りませんが、情報の探し方が変わるなかで、これまでと同じように自社サイトを運営してよいのか、考える時期に来ています。
検索から訪れる人を増やすことに加え、会社を知った人が何を確かめにサイトを訪れるのか。本記事では、AIが身近になった時代に、自社サイトが担う役割を考えます。
目次
まずは、人々の検索行動にどのような変化が起きているのかを見てみましょう。
ある調査では、情報収集にAI検索を利用する人の割合が、2025年3月から11月までの8か月間で約3.5倍に増えました。また、全体の23.9%が、生成AIへの質問だけで調べものを終えたことがあると回答しています。一方、AIの回答を見たあと、従来の検索エンジンで改めて調べた人も32.8%いました(出典:Web担当者Forum「AI検索利用率が8か月で3.5倍に急増。「AI検索白書2026」が明かす検索行動の変化」https://webtan.impress.co.jp/e/2026/04/07/52273)。
この調査だけで、企業サイトへの検索流入がどれほど減ったかは分かりません。ただ、以前なら検索結果から記事を開いて調べていた疑問が、AIとのやり取りだけで解決する場面は生まれています。「〇〇とは」「〇〇のやり方」といった基本的な疑問に答える記事は、とりわけその影響を受ける可能性があります。
もちろん、そうした記事が不要になるわけではありません。しかし、一般的な解説記事を増やすだけで、以前と同じようにサイトへの訪問や問い合わせが増えるとは考えにくくなっています。検索からの流入を大切にしながらも、それだけに頼らないサイトのあり方を考える必要があります。
AIの回答を見てから、さらに調べる人もいます。発注先を選ぶ場面では、どのような情報が必要になるでしょうか。
例えば、社員研修を外部に頼みたい担当者が、AIで近隣の研修会社を探したとします。候補の名前や概要は分かっても、自社の課題に合う研修ができるか、どんな人が担当するか、費用はどの程度かを知るには、さらに情報が必要です。
特に、費用が大きい依頼や継続的な取引では、担当者が選定理由を社内で説明することもあります。自社サイトに実績、サービスの内容、担当者、仕事の進め方などが示されていれば、その判断を支える材料になります。
自社サイトは、検索から直接訪れる人にとっての入口であり続けます。同時に、AIやほかの媒体で社名を知った人が、「この会社に相談できそうか」を確かめる場にもなります。訪問者の数だけでなく、訪れた人が判断に必要な情報を得られるかが、これまで以上に大切になるでしょう。
自社サイトには、会社を知った人の判断を助ける役割と、自社についての情報を発信する役割があります。どちらにも共通するのは、何を提供し、どのような考えで仕事をしているのかを、具体的に伝えることです。
初めて会社を知った人は、実際にどのような仕事をしているのか、自社の依頼に対応できるのかを確かめようとします。
会社概要に加え、取引実績、対応できる業種や案件、料金の目安、担当者の紹介などがあれば、検討を進めやすくなります。BtoBの取引では、担当者が上司への説明や社内稟議に使える情報をそろえることも大切です。
掲載内容が古く、現在の事業や体制と合っていなければ、相手は判断に迷います。信頼性を伝えるには、実績を並べるだけでなく、会社の現在の姿を正確に示すことが必要です。
AIの回答や比較サイトでは、会社の特徴を手早く把握できます。一方、仕事をどのように進め、何を大切にしているかは、短い紹介文だけでは伝わりきりません。
例えば、事例を紹介するときに、成果だけでなく、依頼時にどんな課題があり、なぜその方法を選んだのかまで説明する。担当者の紹介でも、経歴に加えて、お客様とどう向き合っているかを伝える。こうした情報があれば、読み手は自社との相性を考えやすくなります。
自社サイトは、サービスの条件だけでは見えない仕事の進め方や考え方を、自分たちの言葉で伝えられる場所です。
自社サイトに情報を載せれば、AIが必ず自社を紹介してくれるわけではありません。それでも、掲載している情報が少なかったり、古かったりすれば、自社が今どのような仕事をしているのか、サイトを訪れた人にもAIにも伝わりにくくなります。
拠点や対応エリア、提供サービス、対象となるお客様、実績などを、自社サイトに分かりやすく記載しておきましょう。サービスの内容が変わったときには、関連するページも更新します。
それは、サイトを訪れた人が正確な情報を得るための基本です。同時に、検索エンジンやAIが自社について参照できる情報を整えることにもつながります。
自社サイトの役割を踏まえると、何を見直せばよいのでしょうか。まずは、成果の捉え方、発信する内容、情報の見つけやすさの3つから考えてみましょう。
サイトのアクセス数が減ると、不安になるものです。しかし、アクセス数だけでは、サイトが事業にどれほど役立っているかは分かりません。多くの人に読まれていても問い合わせにつながらない場合もあれば、訪問者は少なくても、具体的な相談が寄せられている場合もあります。
検索からの流入数とあわせて、問い合わせの件数や内容、社名を含む検索からの流入状況、サービス紹介や会社概要などの閲覧状況を見てみましょう。可能であれば、問い合わせが商談や受注につながったかも確認します。
それぞれの数字だけで訪問者の意図を断定することはできません。それでも、数字を組み合わせれば、「どれだけ訪れたか」だけでなく、「訪れた人が検討を進められているか」を考える手がかりになります。
「〇〇とは」「〇〇のやり方」といった解説記事は、これからも役立ちます。読者が課題を理解する助けになり、自社の専門分野を知ってもらうきっかけにもなるからです。
ただ、どの会社にも書ける説明だけでは、「この会社に相談したい」と思う理由までは伝わりません。現場で経験した事例や、お客様からよく受ける質問、対応の際に重視している判断などを加えてみましょう。同じテーマでも、自社の経験を通して語ることで、仕事の進め方が見える記事になります。
記事の数を増やすことだけを目標にせず、読み手が自社を理解し、相談を検討できる内容になっているかを確かめることが大切です。
判断に必要な情報を載せていても、見つけられなければ十分に役立ちません。
初めて自社サイトを訪れた人の立場で、トップページからサービス内容、実績、料金の目安、問い合わせ窓口までたどってみましょう。会社概要は現在の情報になっているでしょうか。誰がどのように対応するのかも分かるでしょうか。
サイト全体を一度に作り直す必要はありません。まずは会社概要やサービス紹介など、検討中の人が読みそうなページを見直し、必要な情報にたどり着きやすくすることから始められます。
AI検索が広がり、企業が見つけられる経路は変わりつつあります。その影響は会社や事業によって異なりますが、検索からのアクセスを増やすことだけで、サイトの成果を測るのは難しくなっています。
これからも、検索を通じて見つけてもらうための情報は必要です。同時に、自社を知った人が「相談できそうか」「任せられそうか」を判断できるよう、実績や仕事の進め方を伝えることも大切です。
『韓非子』には、「株を守りて兎を待つ」という話があります。切り株にぶつかって死んだ兎をたまたま手に入れた農夫が、畑仕事をやめ、次の兎を待ち続けたという寓話です。
検索からの流入を増やす取り組みは、今後も大切です。ただ、検索からの流入数だけを成果の基準にすると、サイトを訪れた人が何を確かめ、相談につながっているかを見落としかねません。アクセスが増えたかだけでなく、訪れた人が依頼を判断するための情報を得られたかにも目を向けたいところです。
自社サイトを訪れた人は、今の事業内容や仕事の進め方を理解できるでしょうか。そして、「この会社に相談してみよう」と思えるだけの材料を得られるでしょうか。この問いを起点に、サイトを見直してみてはいかがでしょうか。

AUTHOR天野 勝規
株式会社まほろば 代表取締役
士業専門のホームページ制作会社「株式会社まほろば」の代表取締役。大阪教育大学 教育学部 卒業。総合小売業(東証プライム上場)、公益法人での勤務を経て29歳で起業。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上からご相談・お問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
【保有資格】
社会保険労務士、年金アドバイザー2級
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